北海道の小売りを変えた「コープさっぽろ」、経営破綻から再生へ。年間売り上げ3200億円への復活の道のり
パート・アルバイトまで「カイゼン」マインドを徹底する研修力
効率化とスピード感を重視するために、研修チームには4名の専任スタッフを配置し、その充実に力を入れています。対象は正規職員だけでなく、パートやアルバイト職員も含まれ、「カイゼン」マインドを徹底。 研修の核は、問題解決プロセスをロジカルに論理立てる「QC(クオリティー・コントロール)」、人間の動作や作業を軸に作業改善の着眼点を学ぶ「IE(インダストリアル・エンジニアリング)」の2つです。 これらの勉強会には、年間3000人以上が参加。さらに年間18回の仕事改革発表会や成功事例集の共有などボトムアップの仕組みをつくり、見える化を図ります。 大見「こういった研修をルーティンでやり続けることで、現場のレベルは確実に上昇します。無印良品の「MUJIGRAM」(業務基準書)から学んで、2015年からすべての事業での基準書づくりをスタートさせて、現在3万6000ページにもなります。 さらに教育動画づくりも2019年からスタートして2600本を作成。毎年のカイゼン活動に合わせて更新しています」 ほかにも、幹部教育として小樽商科大学と協働で15~20人対象の独自のビジネススクールを2009年に開講。幹部が経営やマネジメントの知識をしっかり身につけることで、以前のような失敗を防ぐことができます。 経営破綻からの学びとしては、ガバナンスの重要性も挙げられます。ガバナンスが働く組織を目指して、理事には地域代表の女性を12名任命。これは理事の半数以上の数となります。 さらに社外取締役には実業界・教育界などからエース級の人材を招聘。チェック体制を強化しています。 ●コープさっぽろ理事(社外取締役) 荒川裕生(元北海道副知事・札幌大学理事長) 入山章栄(早稲田大学ビジネススクール教授) 堂前宣夫(良品計画社長) 大見「生協という組織は、経営がうまくいっていなくても、周りが責任を追及するというより『頑張れ』と応援することで終わる傾向があります。 やはりそれでは本質的な問題解決にはなりません。社外取締役のように、外からのさまざまな経営に対する厳しい指摘や最先端の知恵を提案してもらうことで、上場企業が最低限やっているレベル感の経営をクリアする。それがガバナンスの利いた健全な経営です」