北海道の小売りを変えた「コープさっぽろ」、経営破綻から再生へ。年間売り上げ3200億円への復活の道のり
価格競争より「地域でいちばんおいしい店」を目指す
残った職員の給与を原資に大リストラを敢行。正規職員は2年で1000人が事実上の解雇となりました。小型店を中心に40店舗以上を閉鎖し、大型店では非食品系部門を撤退、テナント貸しに転換するなど、大胆な改善策を次々と実行していきます。 大見「経営再建のキーワードが、“地域でいちばんおいしい店”です。経営体力がないので価格競争では勝ち目がありません。 その代わり圧倒的な品ぞろえで、ライバルに勝つことを考えました。食料品は地域のライバルの3倍の品ぞろえで、選ばれる店を目指したのです」
もうひとつ、経営再建の鍵となったのが宅配事業で、経常利益が3%ありました。人員整理で生じた余剰人員を宅配の営業部隊に投入、100名体制で営業活動をスタートしています。
効率化とスピード感をキーワードに攻めの戦略
1998年からは、店舗の売り場面積やレイアウトの標準化にも着手します。これにより本部の販売戦略が現場で徹底され、オペレーションもシンプルになりました。 その結果、経営効率が上がり、1年後には売り上げも2桁の伸びを記録。経営再建への明かりが見え始めます。 再建にあたり大見氏が強力に推し進めたのが、あらゆる面での「効率化」と「スピードアップ」です。愛知県出身の大見氏はトヨタのカイゼン方式を取り入れ、組織全体に効率化マインドを浸透させていきます。 大見「組織の体制を例にとっても、決裁スピードの速いアジャイルな組織にするために、できるだけフラットに。プロジェクトはできるだけ少数の1~3人でスタート。その上にはリーダーとなる部長、そして最終決裁者が理事長である私という構図です。 責任の所在がはっきりするので、素早くものごとを進められます」
実際、ほぼすべてのプロジェクトがスタートして半年、長くても9カ月で事業化するといいます。 大見「事業戦略は決断の連続です。そこでいちいち立ち止まっていては、いつまでたっても実現はできません。現場には、収支構造が見えた段階でとりあえずスタートだと言っています。 ダメなときは途中でやめればいいのですから。そういうやめる判断のスピード感も大切ですね」