北海道の小売りを変えた「コープさっぽろ」、経営破綻から再生へ。年間売り上げ3200億円への復活の道のり
北海道で小売り・宅配事業で大きな売り上げを上げる一方で、物流、エネルギー、医療、葬儀など幅広い事業展開を進めているのが生活協同組合コープさっぽろです。 北海道経済を牽引するコープさっぽろですが、1990年代に事実上、経営破綻。大胆なリストラや改革に挑んできました。 現在は、グループ35社で年間3200億円を売り上げるほどにV字回復。経営再建のキーマンであり、現在もコープさっぽろの事業戦略を強力にリードする理事長・大見英明氏に、事業再生の道のりを伺いました。
【大見 英明 Hideaki Omi】 コープさっぽろ代表理事長 生活協同組合コープさっぽろ理事長。 愛知県出身。1982年北海道大学教育学部を卒業後、コープさっぽろに入協。 1993年に核店舗であるルーシー店の支配人に。 リニューアル本部長、水産部長、常勤理事商品本部長などの役職を経て、2007年に理事長に就任。 2022年より小樽商科大学商学部特認教授も務める。
経営破綻から25年で、売り上げは2倍に
北海道の小売業界でイオン北海道と競合トップを争い、全国の生活協同組合の売り上げランキングでも2位(2023年)に食い込むコープさっぽろ。 柱の小売業では宅配事業が好調で、それらを支える物流会社をグループ会社化するなど、大胆な取り組みが好循環を生んでいます。 しかし、今から約25年前の1998年、コープさっぽろは事実上の経営破綻に追い込まれました。日本生活協同組合連合会から217億円の資金援助を受け、以降約10年間、2代にわたり理事長を迎え入れ、厳しい再建の道を歩むことになりました。 現場で経営再建手腕を発揮したのが、現在、コープさっぽろ理事長を務める大見英明氏です。経営破綻の原因は、さまざまです。外部要因としては釧路市民生協の経営破綻による生協への信頼喪失、北海道拓殖銀行の経営破綻などがあげられます。 内部要因としては大手資本対抗策としての店舗大型化に加え、経営体質も大きな問題がありました。長年のワンマン体制、海外進出を含む事業多角化の失敗、借入金依存体質、果ては粉飾決算まで。 大見「破綻時の売り上げ高は約1480円で、負の資産処理が約600億円ほどある中で経営再建に着手。現在は約2倍の約3200億円に成長を続けています」