【「東大宇宙博士」がズバリ解説!】スペースXが狙う「100万人火星移住」は本当に実現可能なのか? 成功のカギを握る“3つのもの”とは?
金星は、人間が足を踏み入れられるような場所ではないのです。 ■月と火星の「人類には過酷すぎる環境」 では、月や火星は、いったいどんな環境なのでしょうか? 特徴をあげてみましょう。 【月の特徴】 ・重力が弱い(地球の約6分の1) ・暑(熱)すぎたり、寒すぎたりする(マイナス170℃~プラス120℃) ・空気がない 【火星の特徴】 ・重力が弱い(地球の約3分の1) ・寒すぎる(マイナス150℃~プラス20℃) ・空気が薄い(気圧は地球の1%未満。成分はほぼ二酸化炭素)
月は空気も水も食料もない過酷な環境なので、ウサギどころか、無防備な生命は生きることはできません。 一方、火星の大気はほぼ二酸化炭素で、気圧は地球の1%未満。 月や火星は、地球と比較するといいところがなく、住みにくそうですよね。金星と比べるとマシではあるものの、そう簡単に暮らせるような環境ではないのです。 空気がない、薄いことは、呼吸ができないだけではありません。空気は、紫外線や宇宙放射線から地表の生き物を守る「バリア」の役割を担っています。
「バリア機能」が働かないと、強烈な宇宙放射線や紫外線が地表にじゃんじゃん降り注いでしまうのです。 いい点があるとしたら、重力(物をひっぱる力)が地球より弱いところでしょうか。月面で物を落とすと、地球上よりもゆっくり落ちていきます。 ジャンプ力が、月だと6倍、火星だと3倍になるので、一般人でもバスケでダンクシュートができるようになるかもしれません。フィギュアスケートの選手なら、審査員が困るくらいの回転数のジャンプになるでしょう。
重力が弱いことによる実用的な利点は、月や火星からのほうがロケットを打ち上げやすいということです。 ロケットの重さのほとんどは重力を振り切るための推進剤(燃料と酸化剤)が占めているため、地球から打ち上げるよりも推進剤を大きく節約できるのです。 現在、宇宙開発の大きな柱として、「アポロ計画」以来の有人月面着陸を目指す「アルテミス計画」が進められています。 アポロ計画では、6回のミッションで合計12人が月面に降り立っています。