プレミアム・ミニタブレットというジャンルを確立した新型iPad miniに競合が存在しない理由
■Apple Pencil Pro対応の功罪は? 今年の春に発売されたM4搭載の新しいiPad Proから導入されたApple Pencil Proは、デザインやイラストレーションなど、iPad上でクリエイティブな作業をしているアーティストにはとても好評だ。 その一方で、第2世代Apple Pencilが使えなくなったことに関して、不満の声も上がっている。しかし、トータルで見ると、やはりApple Pencil Proに対応したことはプラスのポイントとして挙げておきたい。
前述したApple Pencilの回転を察知して入力に使えるバレルロール機能は、建築スケッチやデザイン画の作成において、従来のデジタルツールでは実現できなかった繊細な表現を可能にする。それだけでなく、3Dオブジェクトを操ってコンピューターアニメーションを制作するツールなどでは、オブジェクトを回転させながらアニメーションの軌跡を指定するなど、従来は手間がかかっていた作業を感覚的に行える。 スクイーズ機能によるツール、パレットの呼び出しや、触覚フィードバックなどは好評ではあるものの、もっとカジュアルにApple Pencilを使っていたユーザにとっては従来の(安価な)Apple Pencilが使えなくなったことに不安を感じているかもしれない。
とはいえ、USB-C対応Apple Pencilはもちろんそのまま利用可能だし、サードパーティー製のApple Pencil互換製品もペアリングさえ可能なモデルであれば問題なく動作する。筆者の手元には4000円ほどの低価格なApple Pencil互換製品があるが、新型iPad miniで問題なく動作した。 ■競合のないプレミアムなジャンル 実は筆者がアップルの取材をアメリカで行うようになったのはiPad miniの初代モデル発表時が最初だ。2012年10月23日のことだが、当時のiPad miniは7.9インチ1024×768画素で、搭載プロセッサーはA5チップ。