プレミアム・ミニタブレットというジャンルを確立した新型iPad miniに競合が存在しない理由
iPad Proをカメラ機材と一緒に持ち歩くことを考えれば、ほぼ同じワークフローを293グラムという軽量ボディでこなせるメリットは大きい。特に512GBモデルの追加は、USBの高速化と共にフィールドカメラマンにとっての魅力的だろう。 8.3インチのLiquid Retinaディスプレイは、クリエイティブツールの標準とも言えるDisplay-P3対応の広色域表示となっている。最大輝度は500nitだが、色の信頼度は高く、デジタルカメラのパートナーとして最適だ。
もっとも、これは筆者が写真撮影を趣味としているから最初に思いついただけで、ご存知のようにさまざまな現場でiPadは使われている。単純な操作端末としてiPadが使われている現場も多いが、iPad Proがよりクリエイティブなアプリケーションを開拓したため、それらをiPad miniのサイズで活用できる。 例えば、建築デザイナーなどが使う「Morpholio」というアプリでは、内蔵カメラとiPad OSのAR機能を活用し、建物を実寸で計測して3Dモデリングを行い、その場でスケッチを加えたりできる。また、提案書と共に整えたデザインモデルを顧客に見せながら、iPadの画面でテクスチャの割り当てを変更しながら、仕上がりを検討するといったこともできる。
ほかにも例を挙げればキリがないが、iPad Proが開拓してきた各種業務をサポートするアプリケーションが、iPad miniのサイズで本格的にパフォーマンスの不足なく扱えるようになることは、素直に評価すべきところだ。 なお、ベンチマークテストをしてみたところ、放熱面ではiPhoneよりもはるかに優位と考えられるが、CPUのマルチコアではiPhone 15 Proを大幅に下回った。シングルコアのスコアはほぼ同等であることから、マルチコアを同時に動かしたとき、発熱の問題によるパフォーマンス低下が現れている可能性がある。 GPUスコアに関しても若干ではあるが同様の傾向を示しており、意外にも熱設計はiPhoneよりも厳しいのかもしれない。