AI活用は今からでも「全然間に合う」?2027年「意外な未来」をガートナーが予測
近年新たなトレンドが次々と登場し、目まぐるしい変化にさらされているIT領域。今や生成AIの先駆け存在となったChatGPTも、まだ公開されてから2年が経っていない。そんな中で、ガートナーは毎年独自の将来予測を公表し、これから迎えるであろう変化への備えを促している。存在感を日に日に増す生成AIはこの先、社会やビジネスをどう変えていくのか。ガートナーが来るべき「2027年の未来」を解説する。 【詳細な図や写真】ガートナーは、2022年末まで分析ツールとしてExcelが利用され続けるという予測を発表している(出典:ガートナー(2024年5月))
ガートナーの独自予測「SPA」とは
変化が激しいIT領域おいて、ガートナーが起こりうる可能性の高い“仮説”を提示・公表しているのが、「戦略的プランニングの仮説事項(Strategic Planning Assumptions:SPA)」と呼ばれる予測だ。SPAは予測の正確性よりも、提示した仮説によるビジネスや人に与える影響を理解してもらうことでの新たな“気づき”の喚起に軸足を置く、ガートナー独自の将来予測である。 そんなSPAについて「新たなITトレンドの中での当社アナリストの先行的な視点に基づく、将来的な重要な変化の仮説です。最重視するのは予測の正確性ではなく、新たに起こり得る変化と、それがビジネスや人に与える影響を理解してもらうことでの新たな“気づき”の喚起にあります。企業の戦略や計画を見直しに大いに貢献する、有効な素材だと我々は自負しています」と話すのは、ガートナーマネージング バイス プレジデントの堀内秀明である。 では、SPAではどんな事象がこれまでに予測されてきて、これからの未来をどう予測しているのだろうか。個々の予測を具体的に見ていこう。
SPAにおける「3つ」の論点
まず、SPAにおける主要な構成を確認しておきたい。通常、SPAでは以下の3点が明示される。 ・主要な所見 市場への影響 推奨事項 まず、「主要な所見」では、仮説の背景、根拠が、ガートナーが確認している事実として示される。 これを受け提示されるのが「市場への影響」である。仮説が現実になった際に、あるいはその過程において起こる変化をアナリストが展望して解説する。 そして最後の「推奨事項」では、仮説が実現した際にリーダーが実行すべき行動が具体的に示される。 そんなSPAについて、ガートナーが過去に発表してきたものの一例として堀内氏が紹介するのが、「2022年末まで、臨機応変なデータ分析を行う上で最も利用される分析ツールはExcelであり続ける」という予測だ。 1ページ目を1分でまとめた動画 堀内氏によると、このSPAは、実際に仮説の通りになったケースであり、現在もBIツールのユーザーは大企業の中の一握りの社員にとどまっているという。この仮説の根拠としてアナリストが重視したのが、当時、BIツールがExcelへのデータ抽出ツールになっているという課題が頻繁に聞かれ、BIツールにデータから洞察を自動的に発見する機能が搭載され始めながらも、一方ではそれらが機能的にまだまだ未成熟であったことなどだ。 「これらを総合的に勘案し、近い将来での有効なユースケースの登場は極めて限定的と判断しました。一方で、現場ではデータの散在が進んでおり、これを放置しては全社データの活用は極めて難しく、結果、適正なビジネス推進が阻害されると市場への影響を予測しました」(堀内氏) このSPAにおける推奨事項は、Excelによるデータ分析の成果と課題の洗い出しによる現状把握と、データ提供方式の見直し、BIツールの新機能の積極活用であるという。