【インタビュー】広島・栗林良吏 9回は必ず勝って試合を終わらせなきゃいけない「僕の中ではリリーフとして頑張りたい気持ちが強い」
多角的な視点を生かす
広島・栗林良吏
5月26日のDeNA戦(横浜)で日本人最速タイに並ぶ178試合目の登板で通算100セーブを達成した。だが、大台に到達しても自らの役割を変えることはない。あくまでチームの勝利に貢献するために右腕は投げ続けるのみだ。 取材・構成=志村海 写真=井沢雄一郎、佐藤真一、BBM プロ4年目の今季、栗林良吏は抜群の安定感で防御率は0.36。セーブ数は18と順調に結果を残し続けている。通算100セーブを記録するなど数々の記録を打ち立て、今や球界屈指の守護神としての立場を築いたが、昨季は大きな挫折を経験し、ここまでの道のりは順風満帆なだけではなかった。 ──まずは通算100セーブ達成おめでとうございます。日本人最速タイの178試合目の登板での達成となりました。 栗林 ありがとうございます。達成するまでは何も思っていなかったですけど、いざ達成したら祝福のメッセージやお祝いの花などをたくさんいただいたので、記録を残せて良かったなという気持ちでいっぱいです。 ──達成した場所が横浜スタジアム。振り返ってみると、今季初登板の試合をはじめ、2021年の東京五輪で胴上げ投手になったときや、同年に球団新人最多セーブ記録を塗り替えたときも、横浜スタジアムでした。 栗林 そう考えると、ほかと比べて記憶に残っている球場ですし、いい思い出が多いですね。 ──自身にとっては実際投げやすい球場ですか。 栗林 マウンド自体は全然得意ではないですね。あと球場が狭く、(DeNAは)長距離打者が多いチームなので投げづらさはあります。やっぱりマツダスタジアムのマウンドが一番投げやすいですね。 ──入団4年目での記録達成。ここまでのプロ生活は長かったですか、それとも短かったですか。 栗林 全体を考えると、そこまであっという間ではないですが、1年単位だと短く感じますね。ただ昨年はケガもあったので長く感じましたが……。 ──昨季はコンディション不良やケガにより、17セーブと思うような成績が残せませんでした。最大の原因は何だったのでしょうか。 栗林 一番はフォークボールを意識し過ぎてしまったことです。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)のメンバーに選ばれ、1月からずっとWBC球で練習していたんですけど、そのときはフォークが良かった。シーズン開幕のタイミングでNPBのボールに変わっても、自分の中ではフォークの感覚は変わらず良かったので多投していました。ところが、いざマウンドに立つと、バットに当てられたり、とらえられるシーンが増え、そうした状況がシーズンに入ってもずっと続いていた。にもかかわらず、“ただフォークを良くしたい”とこだわり続けてきた結果が、4月の成績でした(同月だけで4敗)。結局、ケガで離脱してしまいましたが、成績で二軍に落とされてもおかしくない状況でした。 ──思うようにいかない中で感じたことは何でしたか。 栗林 フォークではなく、真っすぐをより磨いていかないと、この先通用しないなと思いました。あとは以前、誠也(鈴木誠也)さん(現カブス)に・・・
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週刊ベースボール