中国がASEAN会合の主導権握る-大統領選前の米国、好機生かせず
こうした摩擦にもかかわらず、石破首相は中国との「建設的かつ安定的な関係」構築に関心を示し、李首相は両国の関係は「改善と発展の上で重要な段階にある」と語った。
ブリンケン米国務長官にとって、アジアにおける米国の将来に多大な影響を及ぼす可能性のある選挙を数週間後に控え、今回のASEAN会合はアジアと米国の関係強化を訴える最後の機会の一つだった。
同長官はインド太平洋地域を訪問するのは今回で20回目であることや、米国が中国や欧州を上回り東南アジアへの直接投資の最大の供給源であり続けていることを強調した。
ブリンケン長官はイスラエルの対イラン攻撃が迫っている可能性がある中で、米国のイスラエル支援や拡大する中東紛争で停戦が実現できるかについて問われた。
同長官はASEAN首脳に対し、米国はパレスチナ自治区ガザの住民の窮状に対する「深い懸念」を共有しており、バイデン政権は紛争の拡大防止に全力を注いでいると伝えた。
しかし、人工知能(AI)に関する安全かつ確実な政策を推進するという共同声明以外、米国から新たな政策イニシアチブはほとんど発表されなかった。
豪ローウィー研究所の東南アジアプログラムディレクター、スザンナ・パットン氏は「ASEANを巡り米国はやや苦戦している」と分析。中国の場合は「貿易協力の深化と自由貿易協定(FTA)のアップグレードについて非常に明確なストーリーがあり、それは全ての東南アジア諸国に非常にうまく受け入れられている。一方、米国のストーリーは説得力に欠けると思う」と話した。
原題:China Seizes Initiative at Key Asian Summit Ahead of US Election (抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Lucille Liu, Josh Xiao, Ben Westcott, Philip Heijmans