「これはL型エンジンの音やない。俺もこんなクルマを作りたい!」新世代チューナーが手掛けた超進化系L型3.0Lチューン
【1978年式 日産 フェアレディZ L28/3リットル+ジェンビー インジェクション+ハルテック エリート750|進化形L型エンジンチューンに迫る!】 【画像21枚】インジェクション仕様のL28型改を搭載&ワイヤータック&シェイプドベイ加工したS31Z 1990年代、大阪で勃発した第2次L型メカチューンブーム。チューニングショップがRB26型へシフトする中、複数のプライベターが独自のL型エンジン文化を形成。堺の臨海築港を中心にストリートゼロヨンでしのぎを削った。 そのプライベーター集団の中で、ぬきんでた存在だったのが、S31Zの製作を請け負った「ツモリエンジニアリング」。 スペシャルパーツは極力使わず、徹底的に軽量化が施されたエンジンは、高回転域の伸びを重視するセットアップにより、他とは一線を画するメカニカルサウンドを奏で、本業の電気工事屋の技術を生かした美しい配線レイアウトにも定評があったと伝え聞く。 このS31Zのオーナーもツモリサウンドのとりこになった一人。 「7、8年前にS130Zに搭載されていたツモリエンジニアリングが製作したL28型改3.0Lのサウンドを聞いて、『これはL型エンジンの音やない。俺もこんなクルマを作りたい!』と思ったのが製作を依頼するキッカケ。オーダーは特になく、仕様は完全お任せ。『時間は気にしないし、好きにやってくれていいよ』とボディだけ仕上げてから、約2年前にファクトリーに持ち込みました」 念願かなって始まったS31Zのチューンアップ。ただ、オーナーが唯一想定外だったのが、預けた直後にお店が「ツモリエンジニアリングreo」に名称を変更し、代替わりしたこと。マシンメイクのほとんどをreoの名が示す通り津守玲央さんが手掛けたことだ。
シェイプドベイ加工で美しいエンジンルームを実現
ただ、カエルの子はカエル。軽量化をメインとした先代の津守正広さんのチューニング哲学をしっかり受け継ぎながら、加工や組み立て精度をさらに追求。制御も昔ながらのキャブではなく、フルコンピューターを使ったマネジメントで、扱いやすさとフィーリングを重視した現代風にアレンジを加えて進化させた。 また、ツモリエンジニアリングの強みはパーツ製作能力。性能追求のためのメカニカルパーツはもちろん、フロアマットやトリムなどの内装パーツにいたるまで、理想のモディファイを追求するためなら、ないものは自社でワンオフする体制を整えている。 「キレイにカッコよく」というコンセプトで仕上げられたS31Z。マシンメイクのハイライトは、オーダーメイド仕立てのようなエンジンルームだ。 「旧車は配線や配管類はまとめても目立ちますので、まずは可能な限り排除&隠ぺいするワイヤータック処理を施しています。さらにパネル類のサービスホールを埋めて、全体をスムージング(シェイプドベイ)を行うなど、シンプルかつスッキリ見せることに徹底的にこだわりました」とツモリエンジアリング。 加えて、柔軟性が必要な部分以外は、メッシュ&ゴムホース類を使用せず、アルミパイピング、フィッティング、ジョイントブロックを組み合わせて製作。汎用品だけでつなぐことができない部分は、得意とするワンオフ製作で成立させている。金属パーツが織りなすメカニカルな造形が、エンジンルームに華やかさをプラス。ボディ下も同様に美しく仕立てられており、見えない部分まで全く手抜きがない。