「これはL型エンジンの音やない。俺もこんなクルマを作りたい!」新世代チューナーが手掛けた超進化系L型3.0Lチューン
伝統の軽量化加工に最新のエンジンマネージメントを融合
その作り込みはゴチャつき感なく、エンジンが浮かび上がっているような雰囲気。ボンネットを開けた瞬間、思わずため息が出る。オーナーならば自慢したくなる仕上がりだ。 ビジュアルは見せる演出が前面に打ち出されているが、中身=メカニズム面はそれに反してかなり正統派。 エンジンはL28型改3.0L仕様。ピストンはワイセコ製、コンロッドは鍛造品、ニスモ製オプションクランクなど主要部品は強化品を使用するが、それ以外はほぼ純正品。製作で何よりも注力するのは部品の軽量化とバランス取り。基本性能を鍛え、フリクションを低減、高回転の伸びを重視するという考え方は揺るがないポリシーだ。 「軽量化と重量合わせはピストンやコンロッドだけでなく、ロッカーアーム、ピストンピン、ナットなども徹底して行っています。ヘッドは面研、ポートのバリ落とし程度。メーカーが時間をかけて作り上げた燃焼室に手を入れないのもこだわりかもしれません」とツモリエンジアリング。 先代と大きく異なるのは制御系。これまではキャブが中心だったが、津守玲央さんは今回ジェンビー製のφ52mm6連スロットル・スポーツインジェクションをチョイス。これをフルコンのハルテックでコントロールしている。 「絶対パワーではなく、低速域のツキや過渡特性に差が出ます。R34のクランク角センサー、ダイレクトイグニッションなどの採用で燃焼や点火が安定。キャブよりセッティングの幅が広いのも魅力です」と語る。 その他、駆動系や排気系など施されたモディファイは多岐におよぶが、L型チューンの基本技術を先代から継承し、それに現在の技術を融合させることで、速さと使い勝手のよさも両立。さらに見せる技ありの手法も盛り込んだS31Z。新進気鋭のチューナーが描く未来は、まだ発展途上。今後、どのように進化していくか、期待せずにはいられない。 初出:Nostalgic SPEED Vol.025. 2020年8月号 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部