松葉づえで参加や手話通訳、障害問わないフットサルリーグ…「喜び合うのが楽しい」引っ込み思案に変化も
身体、知的など障害を問わずに参加できる障害者フットサルリーグ「えん(縁)・ジョインリーグ」(大分市)が、リーグ創設2年目を迎えた。リーグ戦を主催するNPO法人によると、あらゆる障害者が一緒にプレーするリーグは全国的にも珍しい。リーグは楽しむことを重視しており、同法人は「自分ができるものを見つけ、自信を深めてほしい」としている。(大山楓子、山口覚智) 【写真】LGBTQ「色んな人がいる」「何者でもいい」…女子サッカー・斉藤夕真選手、ありのまま輝く
「あと1点取るぞ」
10月20日、大分市のフットサルコート。コート内の選手たちは、中学生から50歳前後までの男女で全員が身体や知的、精神など様々な障害を抱える。知的障害がある中学3年の男子(15)は「協力して点を取り、みんなで喜び合うのが楽しい」と声を弾ませた。視覚障害などがある伊藤大貴さん(22)も「小さい頃から体を動かすことが好き。フットサルは自分が活躍できる場所」と笑顔を見せた。
リーグは、同市の会社員藤近さと子さん(46)が理事長を務めるNPO法人「知的障がい者フットサルクラブENTRADA(エントラーダ)」が主催。フットサルは交代に回数制限がなく、屋内でもプレーできる。天候に左右されにくいため、環境の変化に敏感な知的障害者も順応しやすい利点がある。
クラブは2020年1月に設立。知り合いなどを通じて、選手が加入してきた。選手たちは練習を重ね、「力を発揮する場がほしい」と試合を望むようになった。ただ、既存の大会は障害の種類によって分かれ、出場資格もあることから、メンバーをそろえることが難しかった。そこで藤近さんは障害にこだわらずに参加できるリーグをつくろうと、半年程度かけて参加チームを募集した。大分支援学校スポーツ部や熊本、宮崎両県のチームが応募。エントラーダのA、B2チームを加えた5チームでリーグを実現させた。
試合は、前後半各10分で、一般的なフットサルのルール内で行う。ただ、選手たちは障害も程度も違う。勝敗はつけるものの、重視することは、プレーを楽しむこと。足に障害がある選手は松葉づえで参加し、耳が不自由な選手のために、コート外に手話通訳者が控える。各選手ができる範囲で、競技に参加する。