終わり見えない「自宅保育」勧められ…妊娠中に保育園でリンゴ病流行 「かかっておけばよかった」悲痛な声
終わりの見えない自宅保育
悩ましかったのは、抗体の検査をして、結果が出るまでの約1週間、リンゴ病が流行している保育園に子どもを通わせるかどうかでした。 リンゴ病は、頬が赤くなる前がもっとも他の人への感染力が高く、頬が赤くなる=リンゴ病が疑われるころには、感染力を失っていることがわかっています。潜伏期間が10~20日と長いのも特徴的です。 つまり、保育園でがっつり他の子と接触している上の子は、「すでにリンゴ病に感染していて発症する前の状態」「症状が出ないが感染している状態」「まだ感染していない状態」のいずれかの可能性がありました。 リンゴ病に特別な予防法や治療法はないので、妻に抗体があるか判明するまで、できることは「感染者と妊婦(妻)の接触を減らすこと」「妻がよく手を洗う、うがいする、マスクをすること」しかありません。 もちろん、上の子の体調が悪ければ保育園を休ませますが、その時点で大変に元気だったので、どこまで大事を取って休ませるか、というのは微妙な問題でした。上の子の健康が最優先ですが、自宅保育の場合、夫婦のどちらかが急に仕事を休むことになるのは、現実的には頭の痛いことです。 医学的には、学校の流行では感染者と同じクラスの生徒の10~60%が感染するとされます。感染しても症状が出ない状態は、小さな子どもでは1~2割とされます。こうした数字だけみても、上の子はもうかかっているかもしれないし、かかっていないかもしれないとしか言えません。 そうなると、「大事を取って……」という方針になりがちです。保育園からも、注意喚起とともに「妊婦さんが家にいる場合、流行中は上の子の自宅保育を」と勧められました。 しかし、その場合はいつまで自宅保育にすればいいのか「終わりが見えない」という問題もあります。もし、検査で妻に免疫がないことがわかれば、保育園で流行している間は、ずっと自宅保育が望ましい、ということになるからです。 結局、ひとまず抗体検査の結果が出るまで自宅保育にし、結果と上の子がその時点で症状が出ているかどうかを踏まえて、あらためてその後の方針を決定することになりました。 先行きが不透明なまま、夫婦交代で仕事を休み、いたって元気な上の子を自宅保育するというのは、親側の精神的負担も大きい期間でした。