スペイン王室が危機!? 君主制度存続への険しい道を専門家が解説
極右の陰謀論に傾倒するデル・ブルゴ
重要な疑問の1つは、デル・ブルゴの動機だ。彼が単なる感情的なものだけで行動していないことを示すいくつかのヒントがある。 デル・ブルゴは王政そのものを嫌悪しており、それを「腐ったものだ」と呼んでいる。さらに昨年12月には、「天国には王は1人しかいない。その名はナザレのイエス。その者が私を裁くだろう」とツイート。また、同じ12月にはフアン・カルロスの退位はフェリペの王位救済作戦の一環ではなく、レティシアを傍らに置き、民主主義を守るという道徳的使命を抱いた新たな王を誕生させようとする左翼の計略だという極右の陰謀論をリツイートしている。
王室と王冠に対する最大の脅威は、間違いなくスペイン政府である
スペインの近代史において二度も共和制に取って代わられた王政に対する最大の脅威はしかし、軽蔑された恋人や左翼の陰謀家、陰謀論者ではない。 「王室と王冠に対する最大の脅威は、間違いなく政府です」と政治家一家で育ったスペイン人ジャーナリスト、ラモン・ペレス=マウラは言う。 保守派が現首相ペドロ・サンチェスとフェリペ国王の彼への支持に反対している理由は容易に理解できる。2018年に政権に就いたサンチェスは、昨年(過半数獲得には至らなかったものの)2期目を辛うじて獲得したが、スペインの君主制が独立の障害となっている急進派やカタルーニャ分離独立派を含む左翼連合の支持を頼りにしたことで物議を醸した。 そしてこれは、サンチェスの共和主義的本能をさらに強めることになったようだ。 写真/左からスペイン首相ペドロ・サンチェス、フェリペ6世国王、レティシア王妃。
王室を軽視するサンチェス首相
ペレス=マウラによると、サンチェス首相は国王との毎週の伝統的な会合を何度も欠席しており、スペイン建国記念日に宮殿で行われた公式レセプションでは慣例を破りフェリペ国王とレティシア妃の横に並んで挨拶しようとしたため、引き離されなければならなかったという。「まったく信じられないことでした」とペレス=マウラは言う。「彼はルールを守らないのです。フェリペ国王は何とかトップの座を維持していますが、自分が国家元首ではないという事実に耐えられない男と非常に敵対的な関係にあります」 サルサレホスによると、サンチェス首相は国王の海外公式訪問に同行する大臣の派遣も拒否したという。「それは許されないことです」とサルサレホス。しかし、少なくとも公的には、フェリペ国王は極めて寛容な態度を示し、政治的争いを静観し、自身の統治と父の統治の間に一線を画し続けている。