スペイン王室が危機!? 君主制度存続への険しい道を専門家が解説
スペイン社会の保守的な一角からは2人の結婚に驚愕の声が上がったが、マドリードのアルムデナ大聖堂で行われた彼らの結婚式は、落ち着きと静かなプロ意識を特徴とするカップルの関係性を印象付けた。こうした資質や、表紙を飾る笑顔とスタイルで、レティシア妃はすぐにキャサリン妃に比肩する人気を獲得。2014年に王室スキャンダルによって、現在56歳のフェリペが夢にも思わなかったほど早く王位に就いたときも、彼女の魅力は重要な役目を果たした。
不名誉な前国王フアン・カルロス1世
不倫、汚職疑惑(その後捜査は棚上げ)、最悪のタイミングでの豪華な象狩りサファリ旅行など、数々の罪を犯したフアン・カルロス国王。彼が残した泥沼からスペイン王室を救う能力のある王室カップルがいるとしたら、それは地味なスーツを着たフェリペ王子と、その傍らにいる優雅なレティシア妃のほかにはいないだろう。 しかし、華やかな結婚式から20年、そして父の退位後にフェリペが王室の名誉回復を誓ってから10年が経った今、サルスエラ宮殿の周囲には多くの懸念が渦巻いている。 そこには、90代の高齢のジャーナリスト、王位継承に関する王家の支持者間での対立、無礼な態度を崩さない厚かましい首相、そして、レティシア妃の元義弟による王族の不貞に関する突飛な主張が含まれている。 写真/スペイン前国王、フアン・カルロス1世。
さまざまな監視に直面してきたスペイン王妃たち
スペイン国王の妻たちは、これまでもさまざまなレベルの監視に直面してきた。「王妃は常に人々の好奇心をかき立ててきた。そして、好奇心は論争の母である」と語るのは、『Felipe VI: Un Rey en la Adversidad』(フェリペ 6 世: 逆境の王)の著者ホセ・アントニオ・サルサレホスだ。 レティシア妃は、義母であるソフィア妃と同じ運命をたどらないよう切望していたに違いない。ソフィア妃は、現在86歳になるフアン・カルロス前国王の情事を傍観し続けた。フアン・カルロスの愛人の中で最も有名な相手は、スペインが深刻な不況に陥っていた2012年にアフリカへ象狩りに一緒に出かけたデンマーク国籍の実業家コリーナ・ツー・ザイン・ヴィトゲンシュタインだ。この情事は、1970年代にスペインを独裁から民主主義へと導いたとして国際的に称賛されていた国王への評価を一変。40年近く権力を握った国王は退位し、その後アラブ首長国連邦で自ら亡命生活を送ることになった。