砂糖を減らす驚きのメリット、肌の健康から認知機能の改善まで、数日でも効果あり
なぜ添加糖類を減らすと健康リスクも減らせるのか
添加糖類の過剰摂取がもたらす害は大きく、クローン病や多発性硬化症といった自己免疫疾患のほか、高血圧、10種類以上のがんなどの発症リスクを高める。 また、2023年2月に医学誌「BMC Medicine」に掲載された研究によると、総摂取カロリーに占める添加糖類が5%増えるごとに虚血性心疾患のリスクが6%、脳卒中のリスクが10%高まるという。 こうした害が生じる理由の一つは、摂取された糖のうち、エネルギーとして使われない分が脂肪として蓄積されることだ。「その結果、体重とインスリン抵抗性(インスリンの働きが悪くなること)の増加が起こり、糖尿病や肥満などの病気につながります」と、米スタンフォード・ヘルスケア病院の臨床栄養士イレイン・ホン氏は述べている。 グッドソン氏によると、過度な糖の摂取は、肝臓への脂肪の蓄積を増加させ、肝臓の瘢痕化(線維化)や機能低下を招いて、脂肪肝として知られる病気を引き起こす。 添加糖類はまた、腸内の悪玉菌の栄養源となり、慢性的な炎症や、健康に寄与する微生物のバランスの乱れを招く。「これは数多くの精神衛生上の問題とも関連しています」と、米マサチューセッツ州で活動する栄養精神科医ウマ・ナイドゥ氏は言う。
糖類を減らす意外なメリットはほかにも
摂取する添加糖類を減らせば、そうした悪影響を避けられるだけでなく、生活の質の向上にもつながる。その理由の一つは、糖類の摂取量が少なくなると、「AGE(終末糖化産物)」と呼ばれる有害な物質が減るためだ。AGEは老化の早まりや、アルツハイマー病などの慢性疾患と関連がある。 「血流中に過剰な糖が存在すると、それはコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質や脂質と結合し、シワの増加や弾力性の低下といった肌の老化を促進する可能性があります」と、米ニューハンプシャー栄養・食事療法アカデミーの会長ジェン・メッサー氏は言う。 これが、糖類の摂取量を減らすと肌が健康になると示されている理由の一つだ。また別の研究では、糖は睡眠の質に影響を与えることが示されている。糖は脳を過剰に刺激して寝付きを悪くし、また、血糖値の急激な低下を引き起こして、喉の渇きや空腹、トイレに行きたい感覚を生じさせて目覚めを促す。 糖はまた、脳内で感情の調整を助ける化学物質を阻害するため、気分にも影響を及ぼす。これが、添加糖類を減らすと「うつ病のリスクが低下する」理由の一つだと、ホン氏は言う。摂取量の制限がストレスレベルを改善させうるのもこのためだ。 「添加糖類の削減は、血糖値を安定させることにより、運動をする際の持久力も向上させます」とグッドソン氏は付け加える。