2000万円“ステルス公認”が自民にトドメ…萩生田氏は「お金はありがた迷惑」党内からは「与党過半数割れ確実」の声も
“2000万円問題”で内紛勃発
だが、このような自民の猛攻も無に帰す可能性が出てきた。 その原因が、自民党本部が裏金問題で非公認となった候補の政党支部にも2000万円を支給していたという「裏公認」問題である。 石破首相は演説の中で「私たちは公認していない候補者に金を出していない。この厳しい中、なんとか自民党の公約、政策、それをわかってもらいたいという思いで政党支部に出している。このような報道が出ることは憤りを覚える」と主張している。 しかし、その政党支部の多くは非公認の候補者がそのまま代表となっており、しかも、公認候補の政党支部には公認料500万円、活動費1500万円という内訳で支給されているにもかかわらず、非公認候補の政党支部にも公認料を含むような2000万円という金額が振り込まれているわけだ。 そのことから、野党からは「ステルス公認」「偽装非公認」という批判が出ている。 また、この問題については、支部にお金が振り込まれた非公認の候補者からも反発の声が挙がっている。 東京24区に無所属で出馬した元経産大臣の萩生田光一氏は24日にYouTubeやSNSに動画をアップし、支部への2000万円支給について「報道されるまで全く存じ上げず、初めて支部の口座へ振り込まれたことを確認した」「今回の選挙費用として全く使用しておりません」と説明。 そのうえで、「率直に申し上げて、今回の政党交付金の交付に関する執行部の対応は首を傾げざるを得ません」「突然このような資金を振り込まれても、正直申し上げて、ありがた迷惑な話だと思います」と苦言を呈した。
与党過半数割れ目指し立憲もラストスパート
衆院選の投開票日を目前にして、自民党内で内紛が起きているような状況なわけだが、永田町関係者は「今回の問題が選挙戦の情勢に与える影響は大きい」と語る。 「そもそも石破首相は裏金議員に対して厳しい措置をとるということで、金額が大きかった議員や、処分が重かった議員を中心に非公認としたわけだ。 にもかかわらず、裏で金を渡していたということになれば、石破首相の対応は単なる見せかけで、言っていることとやっていることが違うという話になる。今回の報道で国民の自民党への不信感はますます高まっている」(永田町関係者) 自民党関係者からも「接戦区を軒並み落とすことになりかねず、自公で過半数割れした場合に備えなければならない」という声が挙がっており、党内では石破首相と森山幹事長が連立政権の枠組みの拡大について相談したという情報も飛び交っている。 一方で野党は、陰りを見せる自民党に対して最終盤の追い上げに励む。 立憲民主党の野田佳彦代表は選挙戦最終日の26日、地震や豪雨による被災が重なった奥能登を含み、立憲の近藤和也氏と自民の西田昭二氏が接戦を繰り広げる石川3区で応援演説をしたあと、東京の接戦選挙区を回る予定だ。 立憲関係者は「今回の衆院選は自公を過半数割れに追い込む最大のチャンスだ。過半数割れとなったら法案や予算案を通すにも野党の協力が必要となり、これまでのような政権運営とはいかなくなる。野党の存在感をしっかりと示せるような選挙結果にしていきたい」と意気込んだ。 裏金問題による逆風の中、2000万円問題も重なり、窮地に立たされている自民党。 接戦や苦戦となる選挙区が増えていると見られる中、その結果は一体どうなるのか。 今後の政治を大きく左右する国民の審判の行方に、注目が集まっている。 取材・文/宮原健太 集英社オンライン編集部ニュース班
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