健康食品「ウコン」が肝障害を引き起こす…!? 忘年会前に気を付けたい、一緒に飲んではいけない医薬品
ウコンと一緒に飲んではいけない医薬品
さらに日本医師会は、ウコンと薬の相互作用に関しても専門家のコメントとともに注意を呼びかけている。 「ウコンは血液凝固を抑制することがありますから、血液凝固抑制薬(アスピリン、ワルファリン、ヘパリン、ジクロフェナク、イブプロフェンなど)を服用しているときにウコンを摂取すると、紫斑(しはん)や出血が生じる可能性が高くなると考えられます」として、健康被害の症例もあげている。 私も以前ウコンは肝臓によい、と考えていたが、必ずしもそうではないことがこうして明らかになってきた。 確かにウコンは、インドや中国の伝統医学で古くから用いられ、効果も証明されている。近代医学でも研究で、化学物質のクルクミンが肝臓によいことが明らかになった。そして簡単な動物実験やヒト臨床試験で肝機能改善効果が確認されると、食品だから安全という多くの人の意識もあり、健康食品として世に出てきた。 いったん健康食品としての市場価値を得ると「肝臓によい」という言葉が独り歩きし、やがては「肝臓病にもよい」となった。そこで肝臓に問題のある人までが摂取し、事故が発生してしまう。そもそもウコンをはじめ健康食品は医薬品と異なり、その効果のメカニズムや、どれくらいの量をどのタイミングでどんな人が摂取したら効果があるのか、また副作用はないのか、ということが系統的に調べられていない。多くの人が摂取して初めて問題点が出てくることになる。常識的に大丈夫だと考えられている健康食品は、こうした問題を内在している可能性があるから注意を要するわけである。 肝臓の専門医の名取宏氏も、以下のように安易な気持ちで健康食品に飛びつくことに警告を発している。 「健康食品はへたに研究を行って『効果がない』という結果が出れば、製品として成り立たなくなってしまいます。市場競争下では、サプリメントの製造・販売業者はサプリメントの効果を検証する努力をするのではなく、消費者に効果があるかのように誤認させる宣伝方法を洗練する動機が働きます。効果がないだけならまだしも、サプリメントが害を及ぼす事例もあります。私は肝臓を専門にしているため、原因がよくわからない肝障害の患者さんについて他の医師から相談を受けるのですが、患者さんによくよくお話を聞いてみると摂取していたサプリメントが原因であることもあります」 私もまったくそのとおり、と考えている。
長村 洋一(一般社団法人日本食品安全協会代表理事)