ICJで気候変動問題の陳述、バヌアツは緊急性主張 慎重意見も
Stephanie van den Berg [ハーグ 2日 ロイター] - 国連が気候変動対策を巡ってオランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)に勧告的意見を求めた昨年の決議を受け、100以上の国や国際機関が参加する公聴会が2日、2週間の予定でICJで始まった。判決の言い渡しは来年の見通しだ。 勧告的意見に拘束力はないが法的、政治的に重い意味を持つ。専門家らによると、勧告的意見は世界中の気候変動訴訟で引用される可能性が高い。 この日最初に意見陳述した南太平洋の島国バヌアツは、気候変動がもたらす被害を認識し、各国がそれに対処し、地球温暖化の責任の一端を負うという法的義務を判決に盛り込むよう訴えた。 同国の気候変動・環境特別大使のラルフ・レゲンバヌ氏は「われわれは、自ら作り出したわけではない危機の最前線に立っている。危機はわれわれの存続を脅かしている」と陳述した。 さらに、気候変動には、政治よりも国際法に基づく対応が今すぐ必要だと強調し、「国民や多くの人々に甚大な被害を及ぼしてきた行為は違法であり、こうした行為を停止し、影響が修復されるべきだとICJに認めてほしい」と述べた。 この日は世界最大の原油輸出国サウジアラビアの政府代表ジャラウィ・トゥルキ・アル・サウド王子も陳述に立ち、慎重な見解を表明。気候変動に関する国連条約が既に必須の対処事項を巡って完全な答えを出しているため、ICJは法的見解を出すことに注意深くあるべきだと訴えた。「気候変動に関する専門的な条約制度に含まれる義務や結果を超える、またはそれと矛盾する義務や結果を課すことは、この枠組みの完全性を損なうリスクがある」と主張。将来の進展を台無しにしかねないと付け加えた。 ドイツも同日、気候変動に関する各国の義務はパリ協定で規定済みとの見解を明らかにした。 世界最大の温室効果ガス排出国の中国の意見陳述は3日、米国は4日の見通し。小島嶼国や多くの西側諸国、発展途上国も相次いで陳述する予定だ。石油輸出国機構(OPEC)は発言を見送る意向だ。