「あのクルマ電車じゃん!」……ってEVのことじゃなかった! カスタムカー界隈で揶揄される「電車」ってなんのこと?
「電車」という言葉はカスタムカー乗りの格好の餌食!
カスタム車のイベントに行くと、「おいおい、あのクルマ、電車じゃん(笑)」という会話が聞こえてくることがあります。 【画像】クルマに安定感が出てカッコいいとされる「ツライチ」 昨今のクルマは、ホイールがボディの面にどんどん近づいているということを意識している人はどれくらいいるでしょうか。ちょっと検索して昭和のクルマの画像を見てもらうとわかると思いますが、そのころのクルマのホイールって、「なんで?」というくらい奥まっていて、車高も高めに設定。リンゴが余裕で入りそうなくらいフェンダーとの距離が離されていることに気付くでしょう。 それに比べると、現行のクルマはミカンが入るかどうかというくらいまで隙間が少なくなっている車種も多くなっている印象です。とくに欧州車はひと昔前からその隙間が少なく、「なんかホイールがボディ面と同一でカッコいいな」と感じていた人も少なくないでしょう。 そしてカスタムの世界では、そのホイールがボディ面と同一なことを目指す傾向が強くあります。そのため、ホイールが奥まっている状態の車両に対して「未熟だ」と見る風潮があり、そういう状態が顕著なクルマを見付けると冒頭のような発言をすることがあったんです。電車は実際、ボディのかなり内側に台車(車輪)があるので、その構造がこの言葉の由来と思われます。 ここではそんなホイールとボディの距離感についてちょっと掘り下げてみたいと思います。
■「ツライチ」と「電車」
上記のようにクルマのカスタムの世界では、ホイールとボディ面がなるべく同一の状態がいいとされています。それは単純に「カッコよく見える」からです。その面が同一な状態を「ツライチ」と呼んでいます。おそらくですが、この言葉は建築などの会話で、出っ張りをなくしてフラットに仕上げるときなどに使われるもので、そこから引用したものだと思われます。 たとえば1990年代くらいの国産車の純正ホイールを、専用のスペーサー(ワイドトレッドスペーサー)で外側に数センチ出してやるだけでスッキリしたシルエットになり、踏ん張り感が強くなるので、かなり見栄えがよくなります。 その傾向が次第に定番化していって、「クルマのカスタムはまずホイール交換から」という流れが出来上がっていきました。