“強い”東京Vユースが戻ってきた! プリンス関東で11戦無敗の堂々首位。プレミア復帰へ視界良好、復権の理由は?
指揮官はヴェルディ=勝負にこだわる姿勢を強調
攻守ががっちり噛み合い、破竹の勢いで勝利を重ねている東京Vユース。もっとも、タレントが揃っただけで、ここまでの強さは発揮できない。では、何が起こっているのだろうか。薮田監督がポイントに挙げているのが“ヴェルディらしさ“だ。 もちろん、“ヴェルディらしさ”と言われれば、技術力や創造性豊かなプレーが真っ先に浮かぶ。だが、薮田監督はテクニカルな部分ではなく、ヴェルディ=勝負にこだわる姿勢を強調する。 「内容だけで去年のベストゲームをあげるのであれば、浦和ユース戦。22本ほどシュートを打ったけど、PKも外して1-2で負けた。でも、これではいけない。内容が良くても勝てないのはダメ。多少内容が悪くても勝つ。当然、内容が良ければ勝てるけど、全員で勝負にこだわりながらやっていきたい」 9月8日の矢板中央戦は2-0で勝利を収めたが、内容的には不満が残るところもあった。立ち上がりから主導権を握りながらも攻め切れず、チャンスを作り出せない。モヤモヤする時間帯が続いたが、CKから先制点をもぎ取って、強引に流れを引き寄せた。そうした勝負強さが今年の武器であり、無敗を継続している要因でもある。 シーズンは後半戦に入り、現状では2位の横浜F・マリノスユースとの勝点差は8で、3位とも15ポイントの差がある。3位以上が参入プレーオフに進めるレギュレーションを考えれば、8年ぶりにプレミアリーグ昇格を懸けた戦いに挑む可能性が高い。 もちろん、課題もあり、突き詰めていかないといけない部分はある。特に夏のクラブユース選手権はまさかのグループステージ敗退。4チーム総当たりの戦いで1位のみがノックアウトステージに進出できるなかで、初戦で愛媛U-18に0-1で敗北した。守備を固めてきた相手を崩せず、痛恨の敗戦を喫したチームは立て直せず1分2敗という成績で大会を去っている。 プレッシャーが懸かるシチュエーションでいかに本来の力を発揮できるか。「無敗優勝でプレミアリーグ昇格することが目標。そこはブレない」と川村が話せば、川口も「ヴェルディの下部組織はプリンスでしょと言われる。下に見られているので、プレミアに戻したい。トップもJ1にいるので、いるべき場所にユースも戻したいです」と言い切る。 長い月日を経て、勝負強いヴェルディを取り戻しつつあるが、まだ何も成し遂げていない。J1で快進撃を続ける先輩たちの背中を追う若き緑の戦士は、結果を求めて戦いを続けていく。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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