校長の負担大「精神疾患で休職の教員」対応の課題 つねに臨戦態勢で簡単にストレス解消できない
休職期間中の面談を校長が行っている学校が多い
企業の場合、こうした休職期間中の面談は産業医などの医療職が行うことが多い。 だが学校では、文科省が2013年にまとめた教職員のメンタルヘルス対策で「校長等が休暇・休職期間中、本人の状況等を定期的に確認すること」と示されている。校長「等」となっているため、校長以外が担当することも視野に入れているのかもしれないが、校長が休暇・休職期間中に面談を行っている学校が今もほとんどだという。 専門家ではない、ただでさえ忙しい校長が、このような業務を担うのは負担が大きすぎるのではないか。また職場の上司がメンタル不調の原因であることも少なからずあり、早急に見直しが必要なところではないだろうか。 「職場の上司が休職中の面談を行うことに疑問を感じて、教育委員会などに訴えましたが誰も動きません。産業医やスクールカウンセラーの配置なども進んできてはいるものの、教員の仕事に対する理解が不十分でかたちだけの配置になっており人材育成の必要性を感じています」 さらに学校現場では、教育委員会に代替教員の配置を申請はするものの、校長や副校長を中心に代替教員を探すことが珍しくない。「誰か知っている人はいないか」と、つてをたどって退職した先生などに声をかけるのだ。 「社会全体が変わらなければ、今後も精神疾患者が増えることはあっても減ることはない」と、桜井氏はため息をつく。学校に寄せられる保護者や地域からの過剰な期待や、マイナス面ばかり指摘される社会的風潮など、病みやすい環境にあるということだろう。 「まずは人を増やすこと。非正規を増やすのはメリット・デメリットがあるため、正規の加配がベストです。また精神疾患を抱えながらも続けることができる環境、ウェルビーイングな職場にすることも大切ではないでしょうか。2交代制にして勤務時間を減らしたり、学年担任制や専科担任制を導入して責任を分担できるようにするのも1つの手です。そして弱みを気軽に話せるような安全基地をつくること、職員室や校長室をそういう場にしていきたいと考えています」 自身のメンタル不調は軽いほうだったと振り返る桜井氏だが、一度休職をして復帰したことは教員人生にプラスになると話す。乗り越えなくてもいいが、復調して乗り越えられれば強みになる、あの経験をしてよかったと思うようになると。 教員のメンタルヘルス対策は、2013年に専門家会議が取りまとめてから、この10年間まったく見直しがされなかった。2024年度、文科省は公立学校教員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業としてモデル自治体、モデル校で効果的な取り組みについて研究を行うとしているが、学校の現状はかなり深刻だといわざるを得ない。 (文:編集部 細川めぐみ、写真:mits / PIXTA) 関連記事 【前編】「抗不安薬を飲んで学校に」、精神疾患で休職の教員が増えている訳 教職員「精神疾患で休職」が過去最多の6539人、学校と企業の決定的な違い
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