校長の負担大「精神疾患で休職の教員」対応の課題 つねに臨戦態勢で簡単にストレス解消できない
精神疾患で休職した教職員数が過去最多の背景
文部科学省は12月末、精神疾患を理由に病気休職した教職員数が全体の0.71%に当たる6539人と過去最多になったと公表した(文科省「令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」)。 ここ数年、年間5000人台で高止まりしてきた精神疾患による休職者数が、ついに6000人を超えてしまったのは、こうした学校の現状の表れでもある。 「休職者が高止まりしていることに対して、ストレスマネジメントが大事と言いますが、教員がストレスを解消しようと思っても簡単にはできません。24時間“先生”でいる必要はないと言われても、つねに臨戦態勢でいなければクレームにもつながり、そうならざるを得ないことも多いと考えています」 実は桜井氏も20代の頃、メンタル不調を抱えた経験がある。今ほど知られていなかったが、パニック障害だったと話す。 「若いのでバリバリ夜遅くまで仕事をしていましたが、楽しかった。初任校での経験を生かし、2校目でも頑張っていたのですが、やはり前任校とは違って……平気なつもりでいましたが負担があったのだと思います。管理職や同僚にも恵まれず、批判され続け、専門のクリニックに通い薬を処方してもらいながら仕事を続けました。ベテランの先生が力になってくれたことと、温かい保護者が若い教員である私を支えようとしてくれたことが救いで、このときの経験が今にも生きています」 その後、桜井氏は結婚し、教員を続けて管理職にもなった。うまく病院を活用することができたからだというが、こういう経験のない管理職の先生が休職者対応を行うのは難しいと指摘する。 「急に休まれた先生は、なかなか復帰できません。診断書や休暇についてなど、事務的なことはメールと電話でやり取りしますが、やはりメンタルのことなので顔を見ないとわかりません。休職している先生の自宅近くまで行って話を聞くこともあります。とにかく悪化しないように、プレッシャーを与えないように、話を聞いて寄り添ってあげられるように気をつけています。とくにメンタル不調は、特別なことではなく、あなたが一生懸命な証拠で、この経験は必ず生きると伝えることが大切です」