INIとカイリーミノーグの初対談が実現、音楽への情熱から海外公演の極意まで語る
INIの2人がカイリーにコンサートで使える日本語を伝授!?
■世界各国での公演について 許:世界各国でライブをしていますが、印象的だった国はありますか? カイリー:どの国でもというわけではないけど、その国によって違いはあるわね。たとえば、日本では、観客が同時に手を振るワイパーのようなシンクロがたくさんあってクール。また南米の観客は、歌詞を全部歌うのが好き。前回ブラジルで公演したときは、彼らの歌声が大きくて、最初の3曲くらいは自分でも何も聞こえなかったくらい。色々回ったけれど、やっぱり、オーストラリアでの公演は特別。家族や友達も見に来るしね。ママはよく一緒にツアーを回ってくれていたけど、父はツアーには回れなかったので、最近は私が演奏しているときはとても感情的になって、涙ぐんでいたみたい。日本のお客さんは遠慮がちなところがあるかもしれないわね。ただ、その違いを念頭におけば、「自分がどれだけよいパフォーマンスをしているか」を測ることができる。私はそれを楽しんでいるわ。観客にじっくり見てもらえるのは楽しいし、歌も腕が上がる。何より、世界中のさまざまなステージの上に立つのが大好きなの。来年は「Tension Tour 2025」で、それが実現するので楽しみだわ。 許:最近覚えた日本語の中で、コンサートで使いたいものはありますか? カイリー:まずは日本語の知識を増やさないといけなくて。いい日本語、何かあるかしら? 田島:「叫べ―!」はどうですか? カイリー:さけ…べ? ああ、Scream!のことね! これなら覚えられそう。サケベー? サケベ? サケベ! 許&田島:完璧です! カイリー:念のため、コンサート直前にもう一回連絡してくれる? 田島:もちろん! 一回だけでなく何度でも。何ならボイスメッセージも送ります、「叫べ!」の(笑)。 カイリー:サケベー! 許:ところで、何かコンサートに出る前のルーティンはありますか? カイリー:会場に行ってサウンドチェックをするのが好きで、自分のフィーリングを体感し、ヴォーカルをウォームアップするの。それから、ショーの直前には、楽屋で静かにしている。心の中ではいろいろなことが起こっていて、準備と自分の中心を保つこと以外は何もしていないように見えるかもしれない。そして、10分前という連絡を受けたら、アドレナリンが出始めて、さあいよいよ……となる。ステージに上がって、本番前にみんなとハグして……。今、その瞬間のことを考えただけでも、とても興奮してくるわ。何が起こるかわからないのが、ショーだから。あなたたちはどう? 公演前は何をしているの? 田島:僕らは11人で円になって、叫びます。 カイリー:素晴らしいわ。あなたはたち、仕切り上手だわ。 許:みんな自由だけど、ステージ上では1チームとして立っているわけで。そこはオーガナイズしなきゃいけないですから。 田島:それでなんとなく円になって……。 カイリー:サケベー!なのね(笑)。いいと思う! ■ソロとグループの違いについて 許:ソロアーティストとして国内外のアーティストとのコラボレーションをたくさんしていますが、感想を教えてください。 カイリー:コラボ中にバンドをやっていると、常にお互いがいるから、簡単ではないことも多いけど、仲間がいるのはいいことだと感じることもあるわ。彼らは違うエネルギーをもたらしてくれるし、お互いにアーティストであり、パフォーマーであるという暗黙の了解があるように感じる。相手が経験してきたこと、これから経験すること、彼らをここに連れてきたものごとについて、私はある程度知っているわ。そして、彼らも私の中に同じものを認めてくれることを願っている。そういう瞬間を共有するのが好きなの。あと、さっき「国内外の」と言っていたわね。私にとってどの国かどうかは気にならない。ただ、音楽という言語でやりとりできる相手、そんな気がする。