プロ2年目でシーズン200安打を達成ヤクルト・青木宣親が苦労の末に身につけた「打撃のコツ」とは?
アウトサイドに対しては、ポイントを引っ張れるように前に出す。そのために始動を早くしてバットをゆっくり出すようなイメージで振っていくと、上半身が突っ込んだり泳がされたりすることなく、下半身主導のバッティングができる。 これができれば、落ちるボール球に対してもバットが止まりやすくなって、引っ掛けたり空振りすることが少なくなるんです。“奥行き”の話を論理的に話してくれた方はなかなかいなかったので、なるほど、と思いました。早速取り組んでみたらできるようになったんですよ。引っ張りを覚えて前のポイントで打てるようになったら、同じイメージでさらにインサイドも引っ張れるようになりました。 ● 引っ張れるようになって シーズン200安打を達成 加えてバットの軌道についても、それまでは少し縦に切るような感じでスイングをしていたので、もう少しフラットに振った方がいい、と教えてもらいました。それがプロ2年目、横浜スタジアムだったかな。そこから全てがいい方向に転がっていきました。 ヒットを量産し始めてそこから200安打打てましたし、前で捉えると飛距離が出るので同時に長打も増えていくんです。引っ張れるようになって色々なことを克服して、世界が広がるような感覚がありました。 バッティングの技術について考えるきっかけになった野村さん(編集部注/野村克也)とは、2006年11月に行われた日米野球のNPB選抜チームで監督と選手として一緒にやらせていただきました。結果はMLB選抜に引き分けの後、5連敗。以降はちょうどすれ違いのような感じであまり接点がありませんでした。 でもスワローズの教育というか、野球に対する基本的な考え方というのは野村監督時代から受け継がれていて、伝統として今も色々なことが残っている。コーチたちも、基本的に「野村イズム」に影響を受けてきているので、チーム全体に染み付いているんですよ。 僕が「野村ノート」を読んで、キャッチャー視点の逆の発想から「全部できるように」と取り組んだように、日本の野球界は「野村イズム」を境に様々な理論やメソッドが生まれ、さらにそれを超えようと技術や戦略が進化していった。