膠着状態を打破したDF金田一輝のヘディング一閃 駒込が都立国立に1-0で辛くも勝利
第103回全国高校サッカー選手権東京予選の2次予選が開幕。大会初日の10月5日、Aブロック1回戦1試合が駒沢補助競技場で行われ、都立国立と駒込が対戦した。 【フォトギャラリー】都立国立 vs 駒込 試合は、0-0で迎えた後半32分、CKから駒込DF15金田一輝(3年)が頭で押し込んで先制。このゴールが決勝点となり、駒込が都立国立を1-0で退け、2回戦進出を決めた。 決勝点を挙げたDF15金田は「キッカーの武田くん(MF16 武田和輝・3年)のボールを信じて走り込んだ結果です」と満面の笑み。今大会初スタメンでの殊勲のゴールに「(スタメン起用には)驚きましたが、やってやるという気持ちでピッチに立ちました」と見事に抜擢に応えた。 「先が見えない試合でした」と駒込・宮坂拓弥監督。 たしかにそうだった。特に前半、駒込の長短のパスでテンポよい攻めに対し、都立国立は5バックを敷き、前を向かせない守備で対抗した。しかし、その都立国立も機を見て縦に速い攻撃を展開したが、駒込の素早いプレスでチャンスの芽をことごとく摘まれた。 お互いの特長を消しあったゲーム展開。前半のシュート数は双方、ゼロ。この試合初シュートは後半8分、駒込MF8田村陽太(3年)のロングシュート。どちらに転んでもおかしくない試合だった。後半15分すぎから、都立国立が攻勢に出る。ロングボールで前に進んでサイドから崩し、チャンスを作り、セットプレーで圧を加えた。形勢は都立国立にあったが、それでも駒込が勝てたのはなぜか。守備での確固たる自信だ。選手権予選ブロック3戦、いずれも無失点であることが担保となっているようだ。 主将MF8田村は「相手にボールを持たれる時間が多くありましたが、粘り強く守備ができました。ここまで無失点なので守備の強さが出た分、焦れずにできました」と胸を張った。またDF4奥津大和(2年)は「ここまで無失点できたので、やられている感覚はありませんでした。いつも通りに。当たり前なことを当たり前に」と凡事徹底を強調した。さらにDF4奥津は「試合中、先輩たちが球際や空中戦でバチバチ、やってくれるなかで自分がやらないわけにはいかない。技術というよりは気持ちでした」と言えば、GK1岩井慶明(2年)は「CKの際、先輩たちがボールカバーに出てくれました。勝因は・・・3年の杉本先輩(MF10 杉本啓太)のボールカバー」という声も。チーム内の仲の良さが垣間見える。 今回のような膠着状態が続くゲームで勝敗の分かれ目となるのはメンタル面。焦れるか、焦れないか。付け加えれば、相手にカオスな状況を作られてしまうか、あるいはその状況にみずから招いてしまうか。その部分でわずかに駒込が上回ったといえる。 「最後は集中力の勝負。焦れたほうが負けです。選手には(無失点で得た)自信が過信にならないようにと伝えました」と駒込・宮坂監督。 「ホントに選手たちはよくやってくれました」 この言葉と同時にこぼれた安堵の表情に厳しい試合を勝ちきった充実感がにじみ出ていた。 (文・写真=佐藤亮太)