閉店は妻へのプレゼント 昭和の喫茶店“最後の日” 体調すぐれず…妻「体を休めて、いてくれるだけでいい」 19歳で店に立ち、苦渋の決断 45年の歴史に幕
妻・幸枝さん: 「パンが分厚いのと、バターの味がおいしいです。ほんとに終わっちゃうと思うと寂しいね」 夫・賢太朗さん: 「(最後のモーニングを)ゆっくり楽しんで、目に焼き付けて」
最後に記念写真―。 市内から訪れた夫婦: 「ありがとうございました」 久保田さん: 「どうもありがとう、いってらっしゃい」
■妻「お父さん、きれいに店閉めようよ」
午後4時過ぎ―。 閉店の時間を迎えました。 体を気遣い、店を閉じるよう頼んだ妻・美恵子さんの姿も。 妻・美恵子さん: 「病気がね、みんなにお世話になったことを『ありがとう』って言えない状態で店を閉めることがすごく嫌だったので、『お父さんきれいに店閉めようよ』って」
常連客: 「マスターみたいに、うまくいかないですね」 最後に常連客が感謝を込めて久保田さんのためにコーヒーをー。 久保田さん: 「熱い!おいしい」
常連客: 「じゃあこれで、いってきます」 「珈香」マスター・久保田富夫さん: 「ありがとう、気をつけてな。いってらっしゃい」 最後の客もいつも通りの笑顔でー 久保田さん: 「いってらっしゃい、サンキュー」
■客に愛され、家族に支えられ
「珈香」マスター・久保田富夫さん: 「マラソンなんかやったことないけどそんな感じ、気持ちいい。写真見たり、いただいたものを振り返って、切なくていられなくなるかもしれない。もうここには立てない。ここがすべてだったので、本当、みんなに感謝」
閉店を決断させた妻の美恵子さんにも感謝です。 久保田さん: 「俺はだらだら行きたかったんだけど、いい線引きをしてくれました」 妻・美恵子さん: 「いてくれればいいんですよ、本当に。いてくれればいいので、そのためにやめてもらいたい。ずっと一緒にいたいので、一日一日大事にしていきます」 久保田さん: 「ありがとう。やばいな、音声だけ使って」
客に愛され、家族に支えられー。 街角の喫茶店が45年の歴史に幕を下ろしました。 「珈香」マスター・久保田富夫さん: 「19の鼻水垂らしているときから64で頭がはげる時まで、本当全てです。ここから見える景色がすべてです。もう仕事はこれで終わり。あとは妻と子どもたちと孫たちと、静かに暮らしていければいいかな」
長野放送