東日本主産地 1等米比率回復傾向 高温対策奏功も地域差
東日本の主産地で、2024年産米の等級検査が本格化している。今夏も昨年に続き猛暑に見舞われたが、昨年に比べて夜温などの条件が恵まれた地域もあり、1等米比率が回復傾向にある産地が目立つ。農家らによる施肥や水管理での高温対策も奏功したとみられる。一方で検査はまだ序盤で、等級低下の産地も一部見られることから、今後の情勢に注視が求められる。 【表で見る】米主産地における等級検査の序盤情勢 昨年産は「コシヒカリ」の1等比率が5%に低下した新潟県。JA全農にいがたによると11日までに検査した24年産の県産「コシヒカリ」の1等比率は95%で平年並み。検査序盤の品質は上々だ。 県は高温の影響緩和へ、穂肥の回数を増やすことや、地温を下げて根の活力を保つ飽水管理などの対策を農家に呼びかけてきた。ケイ酸など土づくり資材に独自助成したJAもある。夜間の温度が高いと養分を消耗し、白未熟粒の発生要因になるが、県内では「昨年より夜間が涼しかった」との指摘もある。 福島県のJA会津よつばでは13日の初検査で「ひとめぼれ」が全量1等となり、昨年同時期より白未熟粒が少なかった。1等比率向上へ、JAでは今年新たに出穂期の追肥(実肥)と飽水管理を重点的に呼びかけた。 JA秋田おばこは昨年、「あきたこまち」の1等比率が1%台。今年の等級検査は序盤だが、担当者は「現時点では昨年より1等比率が高く、品質は良い」と話す。飽水管理やケイ酸投入などが奏功したとみる。JAみやぎ登米も、12日の初検査で全量1等で昨年同時期の66%から回復した。 昨年に続き高温の影響が目立つ地域もある。茨城県では主産地のJAで「コシヒカリ」の検査序盤は白未熟粒が多く、「2等が中心」(JA)。千葉県の主産JAも「コシヒカリ」は、初検査から20日ほどたった9月上旬時点で1等比率が4割。昨年同時期の同6割を下回る。このJAの担当者は「出穂期以降の水管理徹底を促したが、酷暑で農家が圃場(ほじょう)に出られずに不十分なケースもあった」という。斑点米カメムシ類も例年の3、4倍発生したとする。 農水省は9月末に、8月31日時点の等級検査結果を公表する見通し。
日本農業新聞