叩き込みよりナット締め付けの方が安全!? 簡単にできるベアリングレース圧入
ベアリングレースドライバーのコマを転用する
ベアリングレースを叩いて圧入するリスクを回避するための専用工具もあります。ベアリングインストーラーは、ヘッドパイプの中に長いボルトを貫通させて、上下のナットでレースを締め付けて圧入することでレースの傾きを防止します。ただし、専用工具だけあって高価なのが難点です。 そこで、もっと安価なベアリングレースシールドライバーを利用した自作専用工具を紹介しましょう。 4000円程度で購入できるベアリングレースシールドライバーは、直径が異なる複数のテーパー断面のアタッチメントがセットされた工具で、アタッチメントにセットしたハンドル端部をハンマーで叩くことでベアリングやオイルシール、ベアリングレースを打ち込みます。ここでハンマーを使えば、ソケットや古いレースで叩き込むのと同じです。 そこでひと工夫して、アタッチメントにハンドルを取り付けるための穴に、ヘッドパイプを貫通する程度の長いボルトを挿入するのです。その上で、ヘッドパイプの上下にアタッチメントをセットします。 アタッチメントの外周はテーパー形状になっているので、ヘッドパイプのベアリングレースホルダー部分の直径とフィットするものを選べば、ボルトはおのずとヘッドパイプの中心を貫通することになります。ヘッドパイプの上下でアタッチメントが平行であれば、ベアリングレースも傾くことなく圧入できるという算段です。 ベアリングレースドライバーを素材にベアリングインストーラーを自作する際のポイントは、シールドライバーに付属するハンドルの差し込み部分に近い直径の長ボルトを用意することです。 今回使用したベアリングレースシールドライバーのハンドル先端径はφ13mmだったので、長ボルトもM13サイズを用意しました。M10ボルトでも作業は可能ですが、アタッチメントの穴との間にガタがある分、ヘッドパイプにセットした際に遊びが生じてベアリングレースが傾くリスクが増大します。