宇野昌磨氏

福士蒼汰がナビゲーターを務め、トップアスリートたちの輝かしい「現在」とそれに至るまでの「挫折」をアスリート本人が語るリアルドキュメンタリー番組「NumberTV」(全24回)。12月26日に配信された第11回は、フィギュアスケートでオリンピック2大会連続メダル(平昌2018で銀、北京2022で銅)を獲得し、2024年5月に競技を引退した宇野昌磨氏が登場。卓越した表現力と鋭いジャンプを武器に17歳の時にはジュニアカテゴリーで世界一に輝き、シニア1シーズン目には史上初の大技「4回転フリップ」を成功させ、歴史に名を刻んだ彼の知られざる“挫折”をひもといていく。そんな中で、男子フィギュアスケート界の“絶対王者”であった羽生結弦氏のまばゆ過ぎる影響を受けるあまり、調子が狂ってスランプに陥ったことを明かす場面があった。(以下、ネタバレを含みます) 【動画】バドミントン・桃田賢斗選手、代表引退の真実を語る ■プロスケーターの宇野氏が登場 同番組は数々のアスリートのドラマを伝えてきたスポーツ総合雑誌「Sports Graphic Number」とLeminoの共同プロジェクトによって誕生した、トップアスリートの人生にフォーカスを当てるオリジナルドキュメンタリー。苦難を乗り越えてきたプロアスリート本人が、個々の競技人生を変えた「最大の挫折」と「復活」の物語を自らの言葉で語るリアルドキュメントとなっている。第11回に登場したのは、オリンピックで2大会連続のメダル獲得や日本男子初の世界選手権連覇など輝かしい栄光の道を歩み、2024年5月に惜しまれつつ競技を引退してプロスケーターに転向した宇野氏。 少年時代、愛知・名古屋の大須スケートリンクでスケート教室に通っていた宇野は、5歳の時に選手を目指した経緯を告白。「当初は、フィギュアスケートをやる男の子がすごく少なかったので、(スケート教室で得たスケート技術を)アイスホッケーとか、スピードスケートをやるのかなって思っていたんですけど、浅田真央さんが『フィギュアスケートをやりなよ』って言ってくれているのを知って、『あの真央さんと同じのをやってみたい！』ということで、フィギュアスケートの道に進むことを決めました」と明かす。 その後、めきめきと上達し、小学3年生の時に初めて出場した全国大会で4位となる。だが、宇野は当時を振り返り「試合で思うようにいかなくて、自分が予定していたジャンプがうまくいかなくて、初めて『悔しい』って思いました。この試合をきっかけに、自分が“より競技として頑張る”意志が強くなった」と述懐する。 また、翌年の2007年から2010年まで全日本ノービス4連覇を果たすも、トリプルアクセルが跳べないという大きな壁に直面していたことを打ち明け、「5年間くらい跳べなくて…。今振り返るととんでもない。(4年に一度の)オリンピックが1回来ますし…」と苦笑しつつ、「諦めずに毎日練習しに行っていたのがすごいなと思います。僕にとって一番苦しかった時期だったんじゃないかと思います」とコメント。さらに、先輩の無良崇人氏から「昌磨4回転やってみたら？」というアドバイスを受け、4回転が跳べるようになった後でトリプルアクセルも跳べるようになったことを告白する。 ■日本フィギュアスケート界をけん引する存在に 2015年に世界ジュニア選手権で金メダルを獲得、GPファイナルでは3位となり、当時“世界最強”を誇っていた羽生氏と共に表彰台に立つ。羽生氏と共に日本フィギュアスケート界をけん引する存在となっていった当時を振り返り、「ゆづくん(羽生)に匹敵することが世界のトップになることっていうことでしたし、本当にたくさん同じ試合に出させてもらって、ずーっと僕よりも上の存在だったので、いつかああいう存在に匹敵する選手になりたいなと思っていました」と当時の心境を回顧。 そんな中、宇野氏は「たくさんゆづくんと試合に出ることがあって、やっぱり影響されて『僕もプレッシャーに打ち勝つ存在にならなければいけない』と。『ゆづくんの後ろを追い掛けて、伸び伸びとスケートやれればいい』と思っていたんですけど、ずっと(羽生を)見ていると『僕もプレッシャーをはねのけて、乗り越えて、素晴らしい演技をできるようにならなければいけない』と思って、気合を入れて自分にプレッシャーをかけて試合に臨んだんですけど、空回りでしたね」と羽生のまばゆ過ぎる光に当てられて、調子を崩した過去を明かした。 なお、2025年1月16日(木)にLeminoで配信される第12回は、F1・角田裕毅選手が登場する。 ◆文=原田健