【職場で激増】「ロジカルなのに伝わらないリーダー」には何が足りない?
会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか? 責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること? 『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。本記事では、木暮氏に「言語化」について教えてもらう。 ● 「ロジカル」と「明確に伝わる」は別物 相手に説明するときに「ロジカルに伝えること」を重視する人は多いです。ぼくもロジカルに伝えることは大事だと思っています。しかし、ロジカルに伝えさえすれば、相手に伝わる、わかってもらえると考えるのは、大きな誤解です。 論理的に説明できれば、相手にも誤解なく明確に伝わると思うのは自然な発想です。ですが、実際のところ「ロジカル」と「明確に伝わる」は全くの別物なのです。 ● ロジカルであれば伝わるわけではない ロジカルに説明しているつもりでも、相手が理解してくれないことがあります。誤解して違うことをやっていることもあります。それは、ロジカルであることと、「明確であること」は別物だからです。よく「ロジカル=明確」と思われがちですが、実際にはそうではありません。 論理的に考えて論理的に伝えなさい、データを用いて「ファクト」で話しなさい、自分の感想ではなく根拠を提示して伝えなさいと言われることがあります。「適当に考えずに、しっかり話を整理してから伝えなさい」という意味では、これらは真っ当な主張だと思います。 しかし、それと「明確さ」は別物です。ロジカルとは、物事の流れ(話の順序)が論理的に整っていることを指しますね。「AだからB、BだからC」というように、順序を整えて伝えていくことが「ロジカルに伝えること」です。その意味では、ロジカルであることは大切なスキルです。 一方で、明確にできているか否かは、言葉の意味や定義を含みます。ロジカルな流れで伝えたとしても、使っている言葉の定義があいまいだったら、相手には伝わりません。「ロジカルだが不明確」という状態になってしまうのです。 ● 言葉の定義が曖昧だと、結局のところ不明確 たとえば、「売上が計画に達しない。もっと売上を増やさなければいけない。そのため、自社ブランディングに力を入れてほしい」という指示があったとします。流れとしては理解できると思います。しかし、「ブランディング」という言葉があいまいで、何をしたら指示に従ったことになるかがわかりません。 繰り返しになりますが「ロジック」は流れの話です。ロジカルに話せば自分が考えていることが相手に伝わるということではありません。 ● 「論理的=正しい」でもない 論理的に考えれば、正しい答えが導き出せるというのも大きな誤解です。論理的に考えれば、多くの人が同じ結論に行き着きます。「AI時代に手掛けるべき新規ビジネスは?」というお題を論理的に考えると、おそらくほとんどのケースで似たような結論に行き着くと思います。しかし、だからといってその結論が正しいとはなりませんよね。というよりむしろ、論理的に考えればビジネスが必ずうまくいくのであれば、苦労はしません。 ● リーダーの仕事は、明確に示すこと ロジックは大事ですが、ロジカルに伝えることがすべてと考えることはできません。ぼくらが仕事で求められるのは、ロジックよりも明確さです。チームで決めた「明確なゴール」に向けて、「明確な作戦」をたて、「明確に指示」をし、メンバーから「明確な行動」を引き出していくことです。 極端な話、会社が掲げたゴールや会社のロジックをメンバーが理解していなかったとしても、やるべきことが分かれば業務をこなせます。ロジックはあくまでも、相手に納得してもらうための道具で、相手から明確な行動を引き出すものではありませんね。
木暮 太一