「握力が強い人」が長生きする!米国の研究で明らかになったこと
食料品を家まで運ぶとき、デスクでタイピングをするとき、紅茶にミルクを入れるときなど、日常的な活動の多くには握力が必要。しかも、強い握力は将来の暮らしに役立つだけでなく、長生きの指標として捉えられることも多い。 【写真】調査で判明!健康で長生きしている人が食べているものは? さらに握力は、全死因死亡率と心血管疾患死亡率の指標として血圧よりも優秀であることが分かっている。過去のスタティックレビューでは、高齢者の場合、握力は加齢に伴う「運動能力、機能的状態、死亡率の低下」と逆相関関係にあることも判明した。そして、このたびの新たな研究では、前腕の筋力と長寿の関係性が改めて確認された。 ▼研究概要 研究チームは、米国に住む50歳以上の参加者1万4178名の握力を測定した。 男性は、以下のケースで握力が“弱い”と判定された。 ・35.5kg未満ー合計でこれ以上の重さの物を掴めない。 ・体重1kgあたり0.45kg未満ーこれがスタンダードな測定方法で、体重1kgあたり、これ以上の重さの物を掴めない。 ・1kg/m2あたり1.05kg未満ーBMIの単位である1kg/m2あたり、これ以上の重さの物を掴めない。 女性は、以下のケースで握力が“弱い”と判定された。 ・20kg未満ー合計でこれ以上の重さの物を掴めない。 ・体重1kgあたり0.337kg未満ーこれがスタンダードな測定方法で、体重1kgあたり、これ以上の重さの物を掴めない。 ・1kg/m2あたり0.79kg未満ーBMIの単位である1kg/m2あたり、これ以上の重さの物を掴めない。 この3つのカットオフポイント(基準点)を全て下回った場合、その人は握力が“総合的に弱い”とされた。
結果
いずれかのカテゴリーで“弱い”と判定された人は、何らかの原因で早く死亡する確率が統計的に高かった。それどころか、参加者の中で最も弱い下位4分の1の人は、次の10年で死亡する確率が2倍以上高かった。 握力が総合的に弱いのは結果として最も悪く、握力がBMIの単位に応じて弱いとき(1.39)と体重に応じて弱いとき(1.33)より早期死亡のリスク比が高くなる(1.45)。 また、当然ながら、早期死亡のリスクは“弱い”カテゴリーの数が増えるにつれて高くなり、弱いカテゴリーが1つだけの場合は死亡リスク比が1.37、2つの場合は1.47、2つの場合は1.69という結果になった。 これを受けて研究チームは、「総合的な握力と体重・体格に応じた握力の弱さはどちらも(死亡までの)時間を確実に予測しており、老化プロセスで筋力を維持することの重要性を浮き彫りにしている」と結論付けた。 パワートレーニングの愛好者でトレーナーのジャクリーン・フートン氏によると、握力の弱さは全身の筋力不足を示していることがあり、その原因は多くの場合、運動の不足または欠如にある。でも、そこに因果関係はなく、全身の筋肉不足が握力の低下を招くわけでも、握力の低下が全身の筋肉不足を招くわけでもないことは特筆に値する。 また、「握力は年齢と共に低下します。50歳を過ぎると低下が顕著になって、65歳を過ぎると低下スピードが速くなります」と説明するフートン氏いわく、前腕の筋肉をつけ、全身の強度と安定性を高めるためには、ファーマーズウォークがおすすめ。 全身の筋肉を強化して損をすることはないけれど、握力の強化に重点を置きたいときは、デッドハング、プルアップ、デッドリフト、ファーマーズキャリーにトライしてみて。 ※この記事はイギリス版ウィメンズへルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。