どれもが樹齢1000年以上の怒涛の屋久杉ラッシュ! 縄文杉を見に行く10時間トレッキング【中編】
最大の難関? 足元が隙間だらけのトロッコ橋
ひたすらトロッコ道を歩いていると、ふいに視界が開けました。目の前には、橋があります。「小杉谷橋」です。ガイドさんによると、長いトロッコ道に飽きてきた頃、ここが気分転換になるとのこと。 吊り橋ではなく木組の橋は、トロッコも通れるように頑丈な作りなのですが、かなり大きな隙間が空いています。筆者はこういう場所は平気なので、普通の道と同じように渡りました。大きな岩がゴロゴロ転がり、その間を清流が流れています。 気持ちのいい水の流れる音を聞きながら渡っていると、後ろから友人の叫び声が聞こえます。高所で足場も隙間が多く、怖く感じるのもわかりますが、こんなところで立ち止まってはいられません。筆者とガイドさんは一度渡った橋を戻って友人2人の手を引き、なんとか渡ってもらいました。 ガイドさんによると、本当に怖くて渡れず、登山を断念して引き返す人もいるほどだそう。筆者は、ここまで来たら絶対に縄文杉を見るぞという意志をもって、友人を鼓舞しながら引っ張りました。
縄文杉以外の見どころが次々登場!
橋を渡ってから30分ほど歩くと、大きな屋久杉と立て看板が見えました。「仁王杉(阿形)」とあります。 元々、阿形と吽形の二本が立っていたのですが、2000年(平成12年)に吽形が台風の影響で倒れ、現在は阿形のみが立っているそう。金剛力士像の阿形と同じように、口を開けているように見えることから、阿形と名付けられました。 ここからは険しい道が続きました。木組のはしごを渡ったり、狭い岩場を登ったり……。まるで、ファンタジーゲームの主人公になっているようでした。つまり、このあたりからは自然を楽しむというより、仲間と共に淡々とミッションを突破していっているような気持ちになっていました。 1時間ほど歩いた頃、「翁杉」が現れました。わけもわからずセルフィーです。 翁杉を通り過ぎ、30分ほど歩くと今度は有名な「ウィルソン株」があります。中の空洞から空を見上げると、切り株がハート型になっています。 名前の通り切り株になっており、これはかの豊臣秀吉が大阪城築城のために伐採させたとされています。歴史のことはよくわかりませんが、ハートはかわいいのでセルフィーです。 さらに40分ほど歩くと、また大きな杉が現れます。 「大王杉」です。このあたりから、険しい道を歩きすぎた疲労のせいか、いくつも見たせいか、巨大な屋久杉に出会っても「デカい木が生えとる。とりあえず撮ろう」という気持ちに。ぜいたくなものです。 そこから20分ほど歩けば、島内唯一触ってよしとされている屋久杉の「子宝杉」が登場。妊婦のお腹のように膨らんだコブの部分をさわれば、子宝に恵まれる、とのこと。 筆者たちはこれでもかというほど抱きつきました。これ以上歩きたくなかったので、できるだけ長く抱きついて休憩しておきたいという気持ちもあったのかもしれません。 有名な屋久杉が続々登場しているうちに、どうやらかなり森の奥へ進んだのだとわかります。怒涛の見どころラッシュと単純な登山の疲れから、筆者たちはお腹も心も限界が近づいていました。 すると、タイミングを見計らったようにガイドさんが、「ここで朝食にしましょう」と声をかけてくれました。休憩スポットのベンチは、歩いてきた木の階段の両脇に、同じく階段のように段々になって設置してあります。そこには、同じくご飯を食べている別のグループの登山客も数人いました。 ホテルで渡されたおにぎりを食べ、いよいよ次回は縄文杉とご対面となります(後編へ続く)。
ソトラバ編集部