240Zを15歳で初めて手に入れて……「912と交換でもいいか」子供のころからあこがれてようやく手にしたハコスカはショートノーズ
【アメリカ発! ニッポン旧車の楽しみ方 】 写真でしか見たことがないから、あこがれる心は膨らむ。インターネットは世界に普及し、「ハコスカ」と呼ばれたクルマがかつて日本で販売されていたことは、もう世界中のだれもが知っている。そんなハコスカに子供の頃からあこがれ続け、ついに手に入れたオーナーを紹介しよう。 【画像14枚】独立メーターの並んだインパネは2ドアハードトップとしてのスポーティーな雰囲気を生み出していた。スピードメーターは180㎞/hまで、タコメーターは6000rpmからイエロー、6800rpmからレッドで、8000rpmまで刻まれていた 【子供のころからあこがれてようやく手にしたハコスカ】 「日本の雑誌やビデオを見て子供心にハコスカにあこがれていました」 ハコスカオーナーになったばかりのヤン・シャレルマンさんが、少年時代の2次元世界でのハコスカとの出合いを語った。父親の影響で小学生になる前からクルマが好き。父親はオーストラリア製の大型乗用車ホールデン・コモドアや、オーストラリアには多かったアメリカ車を所有していた。 「私はダットサン240Zにも興味があったんです。でもオーストラリアには数が少なくて、その上とても高価だった。2014年にアメリカへ移住してみると240Zがたくさんあった」 オーストラリアからアメリカへ移住したが、もちろんハコスカに出合えるわけではなかった。240Zを15歳で初めて手に入れて、それから4台乗り継いだ。その次にはさまざまな日本製スポーツカーに乗ってみたという。 「ホンダNSXは速いアコードという印象で、高速クルーズは静かでクルマのことを忘れてしまい、隣のクルマからサムズ・アップされても『何?』って思ってしまった。ホンダのタイプR系のクルマにも乗りました。FD系マツダRX-7はよく壊れたので修理代がかかりすぎた。ハチロクにも乗ったし、AW20系トヨタMR2はミッドシップの割にエンジンが遠い印象。その後に乗ったリアエンジンのポルシェ912のほうがバランスがいいと感じたくらい。そのMR2はフリーウェイ走行中に他車に無意識に幅寄せをされて、がけからころがり落ちた」
アクシデントにも見舞われたものの、旧車ライフを楽しむオーナー。その間にもずっと心に残っていたのがハコスカだったのだ。
幸い大けがには至らなかったというが、足早に次々とクルマを乗り継ぎ楽しむその間も、ずっとハコスカのことを忘れることはなかった。ハコスカの話を耳にするたびに熱い思いは募り、手頃な値段で入手できる機会が訪れるのをずっと待っていたという。 「ようやく見つけたのがこのクルマでした。ワンオーナーでサビなし改造なしの良好な個体。その旧車店に『912と交換でもいいか』と問い合わせたら、OKと返事をもらった。どっちのクルマが市場価値が高いのかよく分からなかったんですが、まあどっちでもいいか、と思ったので」 アメリカ西海岸北部のワシントン州から届いたばかりの車体は現在カリフォルニア州での登録手続き中。シャレルマンさんの頭の中にはすでに改造案が駆け巡っている。 「ショートノーズだけどオバフェンをつけてGT-Rみたいなルックスにしたいと考えてます。オリジナルの車体じゃなくなっても気にしません」 空と山の接する稜線――そんな爽やかな景色をその名に冠したクルマ「スカイライン」は、元来プリンス自動車の車種だった。66年8月プリンス自動車は日産自動車と合併し、その直後に発表されたハコスカこと3代目スカイラインは「日産スカイライン」として発売された。 この3代目が先代譲りのプリンスの味を色濃く残していたことは、搭載されたG15型エンジンや、継承されたリーフスプリング懸架のリジッドアクスルの足まわりが示していた。ハコスカに先行して67年に日産から発売されていた510系ブルーバードはプリンスの開発陣も採用を検討していた後輪独立懸架だったのだ。この懸架方式はなぜか「日産の技術だ」と主張するかのように、プリンスで開発の進んでいた3代目グロリアには採用されずにリジッドアクスルになった。これは、合併によるセドリックとの共通化のためだ、と説明される。 後にセドグロと通称された両車は、合併後の日産のもとで姉妹車としての運命を歩んだ。搭載されていた国内初6気筒エンジンのプリンス製G7型エンジンはまもなくL20型に置き換えられた。
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