クールな遊び心。90年代ゲームのパッケージデザインを振り返る
ゲームタイトルは、最近ではダウンロードやインストールによるデジタルデータでの購入が主流となり、物理ディスク自体が過去のものとなりつつあります。 【全画像をみる】クールな遊び心。90年代ゲームのパッケージデザインを振り返る PCソフトウェアの専門店などのドアを叩けば、百科事典ほどのサイズのPCゲームのパッケージと梱包箱が見つかります。ビデオゲーム業界の成長期には、コンピューター関連ショップには当時の最先端グラフィックデザインで飾られた箱の横に、ジップロップの袋に入れられたシェアウェアゲームが並んでいました。 その時代の一部のデザイナーは、大きな箱を目を引くような立体のオブジェに作り変えるような芸術表現もしていました。そんな縁の下の力持ち的なデザイナーの1人がHock Wah Yeo氏です。 マニアックなゲームやソフトウェアについて掲載しているThe Obscurityは、2021年にYeo氏のキャリアについて詳しく調べた記事を出しました。 Yeo氏は上記のような時代より少し前に、当時のパートナーだったValerie Wong氏とともにデザインスタジオを立ち上げています。そのときにYeo氏はゲーム業界に注目をし始めたとのことです。Yeo氏は複数のゲームタイトルのデザインの制作を発表し、ゲームパブリッシャーも次第にYeo氏の作品に注目していったといいます。 そんななかPCゲームメーカーのBroderbundは、『Prince of Persia』という後に多くの続編が作られるタイトルの1作目の再リリース時に、新たなパッケージの制作を彼の手に委ねました。記事トップの画像の作品がそれです。すでに単なる直方体ではないこのデザインによって、ゲームの売上は3倍になったといいます。その後Yeo氏のデザインは、さらに個性的なデザインへと変わっていきます。 Yeo氏はThe Obscruityに対し、「誰かに何かを売りたいと思ったら、その人の手に渡らなければならないのです」と語っています。仮にそれが最高のゲームだとしても、手にとる興味が湧かなければ何も始まらないというYeo氏のデザイン哲学が垣間見える言葉ですね。偏在するレビューやマーケティングや広告のシステムが現在のようにはなかった時代には、お客さんはパッケージからそれがどんなものかを判断していたわけです。それがスペシャルな何かで、手にとりたくなるというデザインは、とても重要だったということですね。 Yeo氏とWong氏のデザインスタジオの名前は、当時としては珍しく箱の裏側にクレジットされていたといいます。Yeo氏が生み出すデザインは、それほどユニークなものであったことを示しているといえますね。 さて、Yeo氏はその後PCゲームの隆盛の中で活躍し、その後新たなYeo Designを立ち上げ、ウェブデザインとブランディングへと移行しました。Yeo氏のキャリアやそれぞれのデザインのさらなる詳細を知りたい方は、The Obscurityで読むことができます。Yeo氏が生み出した古き良きPCゲームパッケージデザインの数々は、以下より紹介していきますのでご覧ください。