アドビの「PDF向け生成AI」が2025年初頭に日本語対応へ…生成AIでPDFの用途を拡大
インターネットに触れていれば誰しもが見たことのあるファイル規格「PDF」。 クリエイティブツールなどを展開するアドビの祖業とも言える製品で、アドビは同規格を策定しつつ、高機能な閲覧・編集アプリ「Adobe Acrobat」やクラウドソリューション「Document Cloud」を展開することでビジネスにしている。 【全画像をみる】アドビの「PDF向け生成AI」が2025年初頭に日本語対応へ…生成AIでPDFの用途を拡大 そんなAcrobatに生成AI機能が実装される。従来、英語やフランス語、ドイツ語向けに展開されていたが、今回「日本語向けにも2025年初頭に実装する」ことが明らかになった。 アドビの年次イベント「Adobe MAX 2024」会場で、アドビでDocument Cloudのプロダクトマーケティングを担当するAlex Gay(アレックス・ガイ)氏のインタビューから解説する。
複数ファイル&600ページのPDFにも対応
AcrobatのAI機能「Acrobat AI Assistant」(以下、AIアシスタント)は2月に英語向けベータ版がリリース。4月に正式版が登場した。 対応言語のAcrobatで、有料プラン「Acrobat Standard」(月額2728円、年額1万8216円税込)、「Acrobat Pro」(月額3380円、年額2万3760税込)のユーザーが利用できる。 AIアシスタントの機能は大きく分けて2つ。「サマリー」と「アシスタント」があり、サマリーはそのまま読み込んだPDFの要約を表示する機能だ。 一方、アシスタントはAIにユーザーが質問するチャット形式の機能だ。AIは基本的にはPDFの内容をもとに回答するため、AIが誤情報や関係のない回答をする「ハルシネーション」もある程度防げる。 ガイ氏はベータや正式版提供後もAIアシスタントは進化を続けてきたと話す。 具体的には、当初読み込めるページが100ページだったものが、現在は600ページまで拡大。スピードも向上しているほか、表示しているPDF以外のファイル(PDF、Word、PowerPointなど)も同時に複数参照することが可能になった。 対応言語は英語からフランス語、ドイツ語に拡大し「日本語は来年(2025年)初めに提供する予定」(ガイ氏)だという。 アドビに限らず生成AI機能の多くは、学習データや企業の本拠地などを理由にまずは英語でスタートすることが多い。今回のAIアシスタントの場合、日本語対応には約11カ月かかった形だが、ガイ氏は「品質の確保が重要な課題」だと話す。 「フランス語やドイツ語がスタートした際、そして日本語対応がスタートする際も、お客様がAIから得られる洞察を信頼できるようにすることが重要です。 データを正確に抽出し、それらの洞察を提供することに注力しています。そうしないと、出力が期待に沿わないことが(ユーザーに)すぐに分かってしまいます」(ガイ氏) すでに展開されている言語の地域では、やはりオフィスワーカー向けに好評を得ているという。 法務関係では契約書などの比較に、人事関係では採用に応募した人の履歴書の読み込みに、業界アナリストは市場調査データの分析や要約など、膨大なPDF書類を扱う業種に最適な機能になっている。
小林 優多郎