JAXA公開の衛星データから能登半島地震を調査(前編) - データを整理し被害を可視化
■能登半島地震 ALOS-2変化抽出マップ ここまで、SARデータから発災前と後で地表に変化が起きた場所を抽出し、地図と重ね合わせる作業を行った。ベースマップ(地理院標準地図)とALOS-2データ、カラー化したlog-ratio_layerを重ねたプロジェクトを「能登半島地震 ALOS-2変化抽出マップ」と呼ぶことにする。マップは1月1日の観測データを元にしたもの、1月2日の観測データを元にしたものと2種類がある。
■地図にグリッドを表示する ここからは、地図上で色付けしたピクセルを元に変化の確かさ(偽陰性・偽陽性の判別)や変化が起きた理由を探っていく。すでに防災機関などが公表している被害状況のデータが数多くあるため、他の情報と突き合わせて、1か所ずつチェックしていくことにする。 地図の解析箇所を把握しやすくするため、まずグリッドを表示する。「ビュー」メニューから「地図装飾」→「グリッド」を選択。「グリッドを有効にする」をチェック、間隔を設定し(ここでは20km)、「適用」または「OK」をクリックして決定する。
■緯度経度の情報を使って他の情報ソースと突き合わせる 変化抽出マップと他の情報ソースを突き合わせるには、住所を利用する方法と地理空間座標(緯度経度)を利用する方法がある。市街地ならば住所が利用できるものの、山間地の場合はうまく絞り込めない場合があるため、緯度経度を利用できるようにしておこう。 マップ上で変化が大きい場所(濃い赤またはブルーに表示された箇所)を右クリック。座標をコピー→「WGS 84」を選択する。クリップボードに緯度経度がコピーされ、この座標を元に、オンライン地理院地図やGoogleマップ、Google Earthなどで場所を検索することができる。
今回は、衛星データをQGISに読み込み、発災前後での変化を抽出した。後編では、抽出した変化の箇所をほかのデータソースと突き合わせ、“実際に起こった変化”担っているのかを確認していく。 ■ 秋山文野 あきやまあやの フリーランスライター/翻訳者(宇宙開発) 1990年代からパソコン雑誌の編集・ライターを経て宇宙開発中心のフリーランスライターへ。ロケット/人工衛星プロジェクトから宇宙探査、宇宙政策、宇宙ビジネス、NewSpace事情、宇宙開発史まで。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、訳書に『ロケットガールの誕生 コンピューターになった女性たち』ほか。
秋山文野