JAXA公開の衛星データから能登半島地震を調査(前編) - データを整理し被害を可視化
■スクリプトと解説 Alaska Satellite Facility - Distributed Active Archive Center 「How to Detect Environmental Change using SAR Data in QGIS」 ■解析結果をカラー化する 変化抽出の実行結果は、新しい「log-ratio_layer」レイヤに出力される。初期の状態は、2つの時期で変化の度合いが大きかったピクセルは白(後方散乱が強まる方に変化)または黒(後方散乱が弱まる方に変化)に近い色で表示され、変化が少ない場合は中間的なグレーで表示される。グレースケールの状態で情報を読み取るのはかなり難しいため、擬似カラー化して変化の大きかったピクセルを強調表示する。 SARを用いた浸水被害の解析事例では、浸水した場所(水面)とそれ以外という2つの状態に画像を分類して、浸水域だけをカラー化すればよかった。しかし今回は地表に変化が起きた場所を抽出するため、後方散乱強度が小さくなったピクセルも、反対に大きくなったピクセルも変化としてとらえられるようにする必要がある。そこで、ある色から別の色へとグラデーションに変化するカラー化を行う。
表示色を調整して地図上に見やすく表示してみる
■変化抽出レイヤの表示を調整する QGISでは、レイヤごとのプロパティを調整して表示法を変更することができる。作成したlog-ratio_layerの後方散乱強度が小さくなったピクセルを青く、後方散乱強度が大きくなったピクセルを赤く色づける。中間的な、変化の少なかったピクセルを透明化すれば、2つの方向に変化が大きかったピクセルだけを強調表示できる。 Log-ratio_layerを右クリックし、「プロパティ」→「シンボロジ」を開く。「レンダリングタイプ」を「単バンド疑似カラー」に変更、「補間方法」を「離散」に、「カラーランプ」は「Spectral」など見やすいものに変更する。「モード」を「等間隔分類」に設定し、「分類数」はここでは8段階に設定。ラベルの中間段階を右クリックして「透明度」を0に設定し、変化の小さいピクセルを透過させる。「リサンプリング」は拡大側を「Cubic」に、縮小側は「Bilinear」に設定し、「適用」をクリックして設定を反映する(※ASFのマニュアルでは縮小側の設定は「Average」だが、QGISのメニュー変更によってAverageを利用できないため「Bilinear」を選択する)。