JAXA公開の衛星データから能登半島地震を調査(前編) - データを整理し被害を可視化
■プロジェクトにALOS-2データを読み込む 「レイヤ-」メニューから「レイヤを追加」→「ラスタレイヤを追加」を選択。「ソース」でダウンロード済のALOS-2 TIFFファイルを選択する。「ファイル選択」→「追加」を2回繰り返すことで、2つのファイルを次々と読み込める。 2022年9月26日(発災前)のデータ:IMG-HH-ALOS2450590770-220926-UBSL2.1GUA.tif 2024年1月1日(発災後)のデータ:IMG-HH-ALOS2518900770-240101-UBSL2.1GUA.tif
■地理院標準地図上にALOS-2データが読み込まれた状態 最上位のレイヤが表示され、下のレイヤ(ベースマップや先に読み込んだデータなど)は覆い隠された状態になる。レイヤパネルの表示/非表示チェックボックスや透明度の調整などで表示を切り替えることができる。
■変化抽出を実行する 続いての作業では、Alaska Satellite Facility(ASF)が公開する、2時期のPALSARデータから変化抽出を行うQGIS用のスクリプトを用いた。ASFはSARデータを専門に扱うNASAの地球科学データセンターの1つで、JAXAや欧州宇宙機関(ESA)などと連携し、世界のSAR衛星のデータ受信や解析などを行っている。また「だいち(ALOS)」の処理済みPALSARデータを公開しており、教育・研究用途でSARデータの利用を学ぶコンテンツも豊富に揃っている。 利用したスクリプトはたった1行のシンプルなもので、SAR特有のノイズが含まれたピクセルを周囲と平均化することでノイズの影響を減らし、実際に何らかの変化が起きたピクセルが判別しやすいように処理できる。筆者環境での実行時間は能登半島全体でも1~2分と、処理が軽い点もメリットだ。 作業にあたっては、「ラスタ」メニュー→「ラスタ計算機」を選択。「式」欄に「Log10 (“newer image”/”older image”)」を入力し、「バンド」欄で「newer image」(2024年1月1日画像)には発災後を、「older image」(2022年9月26日画像)に発災前を指定する。「出力レイヤ」に新しいレイヤの名称(ここではlog-ratio_layer)を指定し、「OK」をクリックして実行する。