早大がセカンドジャージで京産大にリベンジ 5大会ぶり「荒ぶる」にあと1勝/大学選手権
ラグビー全国大学選手権準決勝(2日、早大31-19京産大、国立)早大(関東対抗戦1位)が京産大(関西2位)を31-19で下し、2大会ぶり34度目の決勝進出を決めた。主将の日本代表HO佐藤健次(4年)を中心に、相手の強みであるスクラムで反則を誘って波に乗り、28-65と大敗した前回大会準々決勝の雪辱も果たした。13日の決勝(秩父宮)の相手は、3連覇中の帝京大(関東対抗戦2位)。王者のV4を阻止し、5大会ぶり17度目の優勝で、大学日本一になったときの部歌「荒ぶる」を歌う。 両校ともファーストジャージーが赤黒の段柄のため、この日は白のセカンドに着替えた早大の、頼れる主将が大きくほえた。前半24分、連続攻撃から相手の右中間インゴールを陥れたHO佐藤は、拳を突き上げて喜びをあらわにした。 「去年の4年生の思いも背負い、京産大にリベンジすることを自分自身のターゲットにしていた」 強力スクラムを武器にする京産大相手に、最初の3度のスクラムで3度とも反則を誘い、流れをつかんだ。この日の早大のテーマは「リゲイン・プライド」(プライドを取り戻す)。前回大会準々決勝で、佐藤自身「こんなはずでは…」と嘆いた大敗から1年あまり。接点とスクラムは、新チームが始まった昨年1月から鍛え続けてきた。 さらに、BチームのPR前田麟太郎(1年)ら控え選手がこの試合前1週間の練習で、特殊といわれる京産大のスクラムの組み方をそっくりまねて、相手をしてくれた。「助かりました。いきなりだったら面食らっていた。Bチームの選手たちに感謝したい」と佐藤は頭を下げた。 今年、最も伸び、最もプライドを持つディフェンスも、京産大の〝怪物NO・8〟シオネ・ポルテレ(3年)を封じるなど機能した。大田尾竜彦監督(42)も「ディフェンスは非常によかったし、取り返したボールへのリアクションもよかった」と、前半を無失点で切り抜けたことを評価した。 決勝の相手は3連覇中の帝京大。昨夏の練習試合(38-14)、秋の関東対抗戦(48-17)と今季は連勝しているが、主将の佐藤は満足感とはほど遠い表情で「これまでの結果は関係ない。相手は4年連続の決勝で戦い方が分かっている。ウチは後半、少し守りに入り、攻めのマインドが薄くなったところで受けに回ったし、規律も乱れた」と終盤に許した3トライ、後半10個を数えた反則を反省する。
チームのシーズンスロガンは「Beat Up」。「相手チームに圧勝する」「つらい状況に陥ったときの弱い自分に勝つ」という2つの意味が込められている。「僕自身、途中で交代したし、チームがしんどいときに流れを変えるようなプレーができなかった」。決勝で帝京大を破り、5大会ぶりに「荒ぶる」を高らかに歌ったとき、佐藤に持ち前の満面の笑みが広がる。(田中浩)