「棚田の危機」救えるか 長野でオーナー会員らが田植え
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各地にある棚田で、「オーナー会員」らによる田植えが始まりました。全国に古くからある棚田は、農家の高齢化などで放置されることも多く、中山間地の農業再生や国土保全にとって大きな課題。都市部などのオーナー会員による棚田の活用もその対策の一環で、次第に広がりつつあるとされています。
山間地で荒廃する棚田が課題に
「見てください、あそこにも雑草の生えた棚田がある。亡くなった人や高齢で後継者がいない人たちの田んぼです。何とかしないといけない」 長野県の長野市山布施(やまぶせ)の山間地。同地区を含む篠ノ井信里地域の農家有志でつくる農業振興のグループ「のぶさと農楽耕(のうがっこう)」の島田準一“耕長(校長)” や会員らは、荒れた棚田を示しながら訴えます。 棚田は、傾斜地に土を盛るなどして畦(あぜ)を設けて平らにし、小規模な田を連なるように広げて造り上げた水田地帯。規模などから千枚田と呼ばれることも。古くからコメの増産のため傾斜地の開発が行われてきました。 全国に棚田のオーナー制度が広がったのは、こうした棚田の危機がきっかけです。
このコメ作りをぜひ続けてほしい
5月28日。長野市山布施地区の棚田でオーナー会員による田植えが行われました。この日は「のぶさと農楽耕」(会員約20人)の一部会員と、棚田の「オーナー」を希望する長野市内や長野県北部の中野市などの夫婦、家族連れ合わせて20数人が参加。2枚で14アールの棚田のうち、8アールの棚田で田植えをしました。 水をたたえた水田に横一列になって入り、その前に張った綱に沿って田植えがスタート。畦から投げる苗の束を器用に手で受け取りながら作業が進みます。参加した子どもたちも次第に慣れて、「うまくなったね」と大人に褒められながら奮闘。1時間足らずで田んぼ1枚分の田植えを終えました。
「オーナー」たちは実際に田んぼを所有するのではなく、田植えと9月下旬ごろの稲刈りに参加します。食用のコシヒカリと酒米の棚田でそれぞれ20組のオーナーを募集。希望者はどちらかを選び、コシヒカリは玄米40キロ、酒米の場合は清酒などを「成果」としてもらいます。諸経費を含め年間の会費は2万5000円。