「棚田の危機」救えるか 長野でオーナー会員らが田植え
参加の動機はさまざま。夫婦で申し込んだ中野市の春原(すのはら)功さん(65)は、以前参加したが多忙のため数年休み、今年再チャレンジ。「子どものころ親とやった田植え仕事などが忘れられずに、もう一度体験したいという気持ちで来ました」。 長野市内で精米業を営む佐藤篤さん(48)は山布施のコメを代々扱ってきた縁で5年前から家族で参加。「長いことここのコメを精米してきました。このコメ作りをぜひ続けてほしい」と話しました。
面積が小さく機械化も進まず
棚田が放置されて荒れる背景には水田の面積が小さく、多くは田んぼの形が長方形や正方形ではない不整形地となるため機械化が進まず、負担が大きいこともあります。高齢者にとってはなおさらです。 このため農水省は山間地の農業の再生にもつなげる狙いで1999(平成11)年、都道府県から推薦された中から117市町村・134地区の棚田を十分に維持されていると認定。「日本の棚田百選」として発表し、棚田への関心を高めてもらうとともに国土や景観の保全などに広く生かす方針をアピールしました。 このうち長野県は、全国に知られた千曲市の姨捨(おばすて)、白馬村の青鬼(あおに)、長野市大岡の慶師沖(けいしおき)など16地域が認定され、認定数で全国トップ。認定されないまでも山布施地区のように地元の農業者や都市部の住民が支え合っているところも少なくありません。関係の自治体の多くはオーナー募集を呼び掛けるなど支援しています。 「のぶさと農楽耕」の塚田恭市事務局長は「私たち農業者も農業を楽しみながら、助け合う気持ちでやっています」と話していました。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説