「夫に感謝すべき」「女性は控えめであるべき」妻を離婚寸前まで追い詰めてしまった…男性(49)は自身の“モラハラ体質”とどう向き合ったのか
基次さんは、自分の中にあった「マイルール」を書き出してみた。 すると、「夫は妻を養うべきだ」という「マイルール」の根源は、完全に父親の影響だと気づいた。 「父は身を粉にして働いており、母も『うちの夫はよく働くし真面目で優秀』『男は甲斐性が必要』と言っており、そんな両親の影響を受けて、自分の『マイルール』が強固なものになっていったように思います。しかし僕は父のように人一倍働くことはできず、頑張りすぎると妻に皺寄せがいったり、僕自身が倒れてしまったこともありました。そこで、父の理想や『マイルール』通りにはなれない自分に折り合いをつけ、『自分は自分のペースで精一杯やればいい』と考え直していきました」 自分を縛る「マイルール」がある一方で、他人を縛る「マイルール」もあった。 例えば、 ・妻は夫に感謝すべき ・女性は控えめであるべき ・妻は夫を立てるべき ・仕事はプライベートより優先すべき というものだ。 これらも、両親の姿を見て無意識に作られたものだった。 基次さんは無意識に自身の母親と妻を比較して、夫である自分を立てず、自分ばかり目立とうとするように見える妻に苛立ちを覚えていたのだ。 「これは典型的な男尊女卑の思想だと今は分かりますし、マザコン体質な自分を心底気持ち悪く感じますが、当時はそれが当たり前だと考えていました。こうした『マイルール』の根源には、両親だけでなく、自分自身の人生の中で抱えてきた劣等感や自己肯定感の低さがあるということに気づき、自分が過去の嫌な経験を妻に投影していたことが分かると、少しずつ怒りの量も頻度も減っていきました」 基次さんは、瑠美さんに「妻」だけでなく、「母親」や「友だち」、「同僚」といった、妻以外の役割までも勝手に期待して、それを瑠美さんが完璧に担ってくれないと怒っていた。 そんな問題のある自分に気づき、葛藤し、ダメな自分を受け入れ、反省や対策を繰り返していくうちに、少しずつ「マイルール」を手放すことができていった。それはすなわち、“モラハラ加害者体質”を変えることだった。
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