【阪神JF】桜には直結しない?「京都マイル」で頂点アルマヴェローチェ〝牝馬3冠〟をシミュレーション
[GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズ=2024年12月8日(日曜)2歳牝、京都競馬場・芝外1600メートル] 【写真】6年目の悲願達成!勝利をかみ締める岩田望来 8日に京都競馬場で行われたGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズは、5番人気のアルマヴェローチェ(上村)が豪快な差し切り。見事、2歳女王に輝いた。騎乗した岩田望にとってデビュー6年目、61回目の騎乗でのJRA・GⅠ初勝利となったこの戦い。24歳のとびきりの笑顔に視線が行ってしまいがちだが、それよりも重要な意味がこのレースには潜んでいる。
オールマイティーな2歳女王
初のマイル戦で2歳女王の座を射止めることができた要因は? 指揮官である上村調教師の言葉を借りるならば、2歳牝馬らしからぬ「器用な馬」になるのだろうか。その操縦性の高さを構成する要素はいくつかあって、スピードに対応できる〝融通性〟や、馬混みの中でもしっかり我慢できる〝精神力〟などもその一つだ。加えて、最後のストレートで披露したメンバー最速の上がり34秒3という〝爆発力〟も持ち合わせている。 レースにおける器用さを証言したのは手綱を取った岩田望。「スタートを五分に出て、後ろから行っても他の馬にやられてしまう印象だったので、ある程度前につけようと思いました。理想通りの競馬ができました。追い出してからの脚はすごかったと思います。操縦性のいい馬だなと思いますし、2走目(札幌2歳S2着)でゲートをうまく出られていなかったので、そこだけ気をつけました」。レース中に瞬時の判断で描いた組み立てにもしっかりと応えられる非凡なセンス。これこそが一番のVポイントだ。 2歳牝馬の頂点に立ったこの馬にとって、次のテーマは来季の牝馬3冠でも主役になり得る存在なのか、だ。例えば、今年の阪神JFがいつもと決定的に違ったのが京都開催だったということ。同じマイル戦でも阪神と京都とでは〝性格〟が大きく異なる。その意味では、例年より桜花賞に直結するVではないかもしれない。ただ…。 「札幌の洋芝をこなしていますし、今日のような馬場もこなせましたからね。結構、オールマイティーな馬だと思います」と指揮官。さらには「血統的にはマイルから2000。乗りっぷりも2400くらいの長いところは向いている」と、桜花賞だけではなく、早くもオークス、秋華賞を見据えたコメントが飛び出した。これに呼応するように岩田望からは「千六じゃないといけないという馬ではないですし、クラシックを総ナメできるくらいの力をつけてほしいなという印象です」と3冠を意識した言葉まで。 鞍上のGⅠ初制覇がニュースバリューになりがちな一戦。だが、それ以上に注目すべきことが今回のレースにはありそうだ。
明神 瑠