広島の外国人補強が伝統的に早い理由 毎年際立つ独自の動き
広島が来季へ向けた外国人補強を11月中に完了させた。投手ではジョハン・ドミンゲス投手(28)、野手ではエレフリス・モンテロ内野手(26)、サンドロ・ファビアン外野手(26)を獲得。伝統的に他球団よりも外国人補強が早い広島。その理由や背景に迫った。 今年も“早業”だった。広島は11月8日に今オフの12球団第1号の新助っ人として、モンテロの獲得を発表すると、同22日にファビアン、同25日にドミンゲスの獲得を立て続けに発表。残留が決まっている中継ぎ左腕・ハーンも含めて、早々に来季の外国人の陣容が固まった。 カープを見ていると他球団の動きはかなり遅く見えてしまう。11月終了時で広島の他に支配下での新助っ人獲得合意を発表していたのは、台湾リーグからポスティング制度を利用して日本ハムに移籍した古林睿煬(グーリン・ルェヤン)のみだった。12月も中旬に差しかかり、他球団の動きも活発になっているが、広島が見せる独自の動きは毎年際立っている。 なぜこんなにも広島だけ外国人の補強が早いのか-。鈴木清明球団本部長(70)は「シーズン中からスカウトが見てくれている。ウチの中での評価基準でやっているから早い。他球団が来て、(条件面での)競争になりそうなら、ウチは手を引く」と説明する。 今年に限った話ではなく、伝統的に広島の外国人補強は先手必勝。それはマネーゲームには参加しないという明確なポリシーと駐米スカウトの目利きへの信頼に基づく決断力があって成立するものだ。年俸や契約金の高さが活躍を保証するものではない今、合理的な戦略とも言える。 もちろん米大リーグの各球団監督、GMや選手の代理人らが集まるウインターミーティング後の方が実績ある外国人選手が獲得できる可能性は高まるだろう。ただ、早めに入団が決まることのメリットも多い。日本での生活の準備もしやすく、エルドレッド、マクレーンら広島在籍経験のある駐米スカウトからの助言も受けられる。また、首脳陣も来季の戦略を早く立てることができる。 Bクラスからの巻き返しには外国人の力も必要不可欠だ。新井監督は新助っ人について、「自分も何人も映像を見て、(編成と)話をずっとしていた。期待しています」と語っていた。若手育成も並行しながらの勝利が求められる来季。カープへ新たに加わるドミニカン3人の活躍がチームの浮沈の鍵を握っていると言っても過言ではない。(デイリースポーツ・畠山賢大)