勤勉なのに労働生産性が低い…。日本の中小企業が抱える「深刻な根本原因」、一番の解決策は“いつもと違う顔”
日本生産性本部の調査によると、生産性を高めるためには「無駄な作業・業務が多い」「DX化が進んでいない」といった課題を解決する必要性があがっています。 職場には、以前からやっているというだけの理由で続けている業務、効果のない会議、部下を管理するためだけに書かせている報告書など、効果のない業務が存在します。そうした業務は、「何のためにやっているか?」「やめると困るか?」という問いを投げかけることで浮き彫りになります。即答できない場合、試しにやめてみることをお勧めします。 しかし、業務改善だけでは問題は解決しません。分母(売上総利益)が増えなければ、終業が早くなるだけです。当然、賃上げはできません。 需要が十分にある場合は、業務改善により多く作れば、そのぶん売れ、売上総利益は増えますが、現代の生活者はモノに満たされているので、作れば売れるわけではありません。業務改善により創出された時間を使い、現代の生活者の感性を刺激する製品・サービスを開発することが欠かせません。これが労働生産性のボトルネックだと考えます。
組織の「固まる」性質がイノベーションを阻害する
日本生産性本部の調査では、売上総利益を創出する方法として、製造業では「新しい商品・サービスを創造する」が、対人サービス業では「従業員の能力向上」が最も多い回答でした。 新規創造への意欲がうかがえますが、調査では同時に、非常に大きな課題が浮き彫りになりました。それは、「イノベーティブな組織風土ではない」「新しいことにチャレンジしにくい組織風土がある」といった、風土に関するものです。これが新規創造を妨げる根本原因だと考えます。 これらの課題は、遺伝子の入れ替えともいうべき風土の変容が求められるので、一朝一夕に実現するものではありません。 組織は「固まる」という性質を持ちます。どんな企業も、創業時のイノベーションの段階では、非常に動的です。やっては改善、やっては改善を繰り返し模索します。職務の役割は1人2役3役は当たり前です。 やがて、ビジネスが安定成長期に入るとオペレーションが充実します。ルールと職域を作り、誰がやっても一定のクオリティが担保されるように業務を運営します。組織は、オペレーションに比重が偏り静的に固まります。 しかし、ビジネスモデルは陳腐化する宿命にあり、再びイノベーションのフェーズに入る必要に迫られる時が来ますが、固まった組織は腰が重く速やかに動けないのです。 ビジネスは確率論です。たくさん試して、上手くいく方法を残します。それは動的な組織でなければ不可能です。