「不文律」破り非製造・金融…経団連新会長に日生・筒井氏、「驚くほど同じ考え」十倉氏の意向色濃く
違和感指摘も
経団連の歴代会長は、15人中13人が製造業出身だ。1980年代当時、国内総生産(GDP)に占める製造業の割合は約3割を占めていたが、現在は2割程度だ。伝統的な選考ルールが破られたことで、「重厚長大産業の代表とみられてきた経団連が名実ともに変わる」(財界関係者)と評価する声が上がる。
病気で退任した中西宏明前会長も、当初は金融出身者などを後任候補とした。だが、「(技術で競う)メーカーと金融の企業間競争は形態が違う」ことを理由に、財界内に無用の争いが生じることを回避するとして、製造業出身の十倉氏に決まった経緯がある。
また、規制改革などを提言する立場の経団連トップを、金融庁が監督する企業から選ぶことへの違和感を指摘する声もある。経団連幹部は「不文律を破る大決断だが、メリットとデメリットの両方がある人事だ」と話す。