観光庁「観光DX成果報告」を聞いてきた、ポイントはデータ活用や地域の合意形成
海の京都: 「海の京都コイン」を基盤に消費拡大とデータ収集
海の京都観光DX推進協議会は、「海の京都データ交換所プロジェクト」実証事業の成果報告を行なった。目指す姿は、観光による地域への経済波及効果と「海の京都コイン」をふるさと納税の返礼品とした来訪者増加と消費拡大。 7行政区で構成される海の京都エリアでは、閑散期と繁忙期とでは観光消費額に大きな差があり、エリア内周遊が行われていない状況のなかで、地域全体でのマーケティングに課題がある。 そのうえで、実証では、方向性として「海の京都コイン」の促進、観光デジタルマップ上での「海の京都コイン」のマルチユース、CRMでの顧客情報一元管理、DMOと事業者とのデータ共有を掲げ、それぞれKPIを立て、KGIとして「海の京都コイン」に交換できるふるさと納税額1700万円を設定した。 「海の京都コイン」のモデル店舗づくりでは、決済額の10%が「プロモーション協力金」として加盟店に還元される仕組みを構築。モデル店舗として、10万円以上の高額寄付が期待できる加盟店を選定し、自社HPでタビマエ、タビナカでの告知を強化した。 その結果、ふるさと納税額はKGI達成率131%の約2200万円、KPIである10万円以上の寄付件数100件については、達成率96%の96件となった。しかし、自治体間の差も顕在化。最多寄付額を集めた京丹後市と最小寄付額の綾部市では100倍以上の差が出たことから、エリア全体での寄付額底上げに課題が残ったと振り返った。 観光デジタルマップでは、観光情報の提供、交通情報の可視化、「海の京都コイン」の加盟店の掲載およびコイン発出機能を開発した。 その結果、「海の京都コイン」の獲得数増加、旅行者とのデジタル接点を通じたデータ収集では成果が出た一方、地域事業者が共通で活用できるマップとしては課題が残ったという。 CRMの強化では、各種施策で取得した顧客データを一元管理するともに、ECサイトの利用促進などでデータを利活用。新たな気づきとして、ふるさと納税者の方が、それ以外の人よりもメール開封率・クリック率が高くなったことを挙げた。 データ交換所の構築と地域の合意形成では、各種統計データ、生データのBIダッシュボード化、分析レポートを地域ステークホルダー間で共有できるようにした。そのうえで、各市町で「海の京都DMOサロン」をリアル開催し、データをもとに参加者間でディスカッションを行った。課題としてはデジタルマーケティング人材の継続的な活用を挙げた。