中国、財政・金融刺激策と元安で対抗か-トランプ氏の関税政策
通貨切り下げ
回答者の半数以上は、中国が元安誘導に踏み切る可能性があり、そうなれば中国輸出品の競争力が高まり、潜在的な関税の一部を打ち消すのに役立つだろうと説明。
しかし、そうした通貨切り下げの程度については意見が大きく分かれ、2025年の元相場見通しは1ドル=7.3-8元と開きが生じた。
ANZ銀行の楊宇霆氏ら一部のエコノミストは、中国は通貨の切り下げ競争よりも安定を望んでいると分析。中国は少なくとも1990年以降、外国からの直接投資が増加しているが、今年は純流出に転じる可能性がある。元安は資本流出を促す。
報復
中国が関税措置の報復として米国側に打撃を与える可能性があるかどうかについては、回答者の意見はそれほど明確ではなかった。
回答者の大多数は、報復関税の対象となる可能性が最も高い品目として農産物を挙げた。
中でも最も標的になりそうなのは大豆で、牛肉、トウモロコシ、そして自動車がそれに続く。レアアース(希土類)や電気自動車(EV)用バッテリーの輸出を制限する可能性もあるとみている回答者もいた。
一部のエコノミストは、中国の製造業は米国の関税を回避するため、国外の生産拠点への投資を増やす公算が大きいと想定している。
ただ、中国の輸出企業が米市場での損失を補うために米国以外への出荷を増やそうとすれば、それらの国々からも反発を招く恐れがあると警告する関係者もいる。そうなれば、中国は多方面にわたり貿易戦争激化の種をまくことになりかねない。
「これは貿易相手国の反発を引き起こし、中国からの輸入増加に対し国内産業を守ろうとする動きが出てくるだろう」とキャピタル・エコノミクスの中国経済責任者ジュリアン・エバンスプリチャード氏は述べた。
原題:China Seen Countering Trump Tariffs With Stimulus, Weaker Yuan(抜粋)
--取材協力:Wenjin Lv.
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