青学大は令和ロマンなのか!? M-1化する箱根駅伝を読み解く…箱根駅伝2025「TVに映らなかった名場面」往路編
【4区】 青学大・太田蒼生の薬指に光るもの…太田よ、ラウールになれ!
今大会の4区は、青学大の太田蒼生選手への声援がとにかくすごかったです。太田選手は今風のスマートなタイプで、大会後のインタビューでは「箱根駅伝どうでしたか?」と聞かれ、「美しかったです」と、これまたスマートな返事をしています。 その太田選手が中継所で襷を待っているとき、映し出された左手の薬指に指輪がはめられていたことでSNSは騒然となりました。 最初に反応したのは青学大OBで“三代目山の神”の神野大地さん。「太田結婚したの?💍」と直球のポストをします。 神野さんが選手のプライベートに踏み込む“プチ増田明美化”していくことにも今後注目していきたいところです。 太田選手は実際にはまだ結婚しておらず、婚約中とのことでしたが、僕はさすが篠栗町の子だなと見ていました。 篠栗町というのは、福岡県にある太田選手の出身地。実は僕も同じ福岡出身なので、太田選手が青学大に入ったときは「篠栗から、よくここまで来たなぁ」と親近感をもって見ていました。篠栗町は福岡の中でも牧歌的な地域なので、結婚も早い。おそらく太田くんの周りも結婚している人が多いのではないでしょうか。「早く結婚したい」というのも太田選手にとっては自然な流れなのでしょう(すべて憶測です)。 僕としては、せっかく指輪をしたのだから、レアル・マドリーにいたラウール選手のように、薬指にキスをしながらゴールをしたらよかったのに、というのも付け加えておきます。 さて、今回区間賞を獲得した太田選手は、卒業後はGMOに所属しながら、プロランナーになるそうです。芸人にたとえるなら、M-1で優勝したあと、日本の芸能界には収まらずにアメリカズ・ゴット・タレントでゴールデンブザーを獲得する、そんな想像を超える存在になってほしいです。
【5区】駒澤大・山川きっかけで“こめかみファイテン”が大流行
“二代目山の神”柏原さんがM-1に一番近いと言っていたのが実は5区です。 あらゆる人が、どうしたら5区をうまく走れるかを柏原さんに聞きに来るそうです。山登りという箱根にしかないコースをどう攻略すべきか、M-1と同じく特別な戦略を用意する必要があるからでしょう。 ただ、5区攻略法を聞かれた柏原さんの答えは1つで「100パーセントの力を出せるようにコンディションを整えておくこと」。 柏原さんは東洋大時代の4年間、毎晩小田原から芦ノ湖のゴールまでを脳内再生してから寝ていたそうです。それを続けた結果、4年目の5区では、走っているときに次に足を置くべき場所が見えたと言います。つまり、走るというよりは見えたところに足を置くだけという状態だったと言うんです。 メソッドではなく、とにかく100パーセントの力を出すために準備を尽くすこと。実は柏原さんの考え方は、もっともM-1的発想から遠いのかもしれません。 さて、今大会です。 2022年の箱根駅伝5区で好走を見せ、今季の全日本大学駅伝では日本人歴代2位のタイムで区間賞を獲得した駒澤大の山川拓馬選手が5区にエントリー。関係者は「新山の神誕生か!」とざわつきました。 そこで「STOP山の神!」とばかりに、各大学が牽制し合うことに。國學院大の前田康弘監督が「平林選手の5区もありえる」と発言すれば、城西大の櫛部静二監督は前回2区を走った斎藤将也選手を5区に配置。 さらに前回話題をさらったメガネランナー「山の名探偵」こと早稲田大の工藤慎作選手、そして青学大の「若の神」こと若林宏樹選手が配置され、稀に見る山の神候補が集結したわけです。 その戦いを制したのは、1時間09分11秒の区間新記録を叩き出した若林選手。今大会の最高傑作を見たと感動しました。 山川選手は新年度から駒澤大の主将になることが決定。来年は青学から王座奪還を目指してぜひ頑張ってほしいと思っています。 さて、その山川選手について1つお伝えしておきたいことがあります。 陸上選手の体によく貼られている丸いシールをご存知でしょうか。ファイテンが出しているパワーテープというもので、貼ると血行が良くなることから、これまでは疲労の溜まる足や、呼吸が楽になるよう首筋に貼るのが一般的でした。ところが今年の箱根ではこめかみに貼る「こめかみファイテン」が増加。 実はこれを駅伝界で最初に導入したのが山川選手なんです。パリオリンピックで柔道の角田夏実選手がこめかみにつけているのを見て、「あれはいい」と主将の篠原倖太朗選手のアイデアで取り入れたところ、夏合宿の30km走での集中力が上がったそうなんです。 そこで出雲駅伝でもこめかみファイテンで出走したところ、話題になり、都大路(全国高校駅伝)、ニューイヤー駅伝でも真似する選手が続出。今回、駒澤大の佐藤圭汰選手もこめかみファイテンでした。 ちなみに僕もやってみましたが、仕事の集中力も上がるので、ぜひ試してみてください(個人の感想です)。 構成/林田順子(モオ) 「人間じゃない」青学大・野村昭夢が山下りのヒーローになったワケ…箱根駅伝2025「TVに映らなかった名場面」復路編 へ続く
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